鳥籠に囚われた小鳥に自由を
- ★★★ Excellent!!!
神秘的な雛鳥たちの歌声から始まるこの作品。
最初に綴られている幻想的な神楽を舞う小鳥たちの姿がより一層、物語の世界へと引き込んでくれます。
今にも神楽が聞こえてきそうで、歌声が響きそうで。
一文一文に込められた思いが深々と伝わってきます。
その神秘の始まりから一転して、序盤の作品の薄暗さ、主人公オトを取り巻く環境に、目が離せなくなります。
鳥籠とすら思える狭い世界に閉じ込められた、雛鳥達はほんの些細な違い――オトが片羽が故に弱者として陰険な行為を続けていました。
味方はいるが、決して逃げられない鳥籠という環境が絶望すら感じさせる。
誰か、オトを助けて欲しい。そう願ってやまない程に過酷な状況が続いて、オトが苦しむたびに胸が痛みました。
筆者様が綴る美文が世界観をより濃厚にしているゆえに、この仄暗さも浮きだす。
是非とも、この光と影が織りなす美しい世界を堪能していただきたい。
オススメです。