饑い。或いは最も苦しい苦痛を伴う

事の始まりは、主人公の父が亡くなったところから始まる。
珍しい風習を持つ主人公の家は、亡くなった家族の遺骨を石室へ戻す“お骨返し”という儀式を行わねばならない。
しかし何よりも異なことに、父はおかしな亡くなりかたをしていたのだ。件の石室の前で倒れていた父の口に、いっぱいに詰められた葉や土くれ。
そんな物を詰め込む理由とはなんであろうか。まさか、空腹だったなどということはあるまいが。
我々に想像などできる筈もない。科学の時代を生き、死に至るまでの空腹などとは遥かに無縁の我々などには。

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