ひとつの法律から政治と集団心理の膿が吐き出されてゆく。完読必須の意欲作

作品の圧倒的なパワーに序盤からグングン引き込まれました。「老害対策法」なんて一見冗談のような法律にみえますが、これが本当に施行され、訴えられた老人たちがいとも簡単に死刑になってゆく。この理不尽がものすごいリアリティをもって迫ってきます。
淡々と切り捨てるように命が落とされる展開に抵抗を覚える方もいるでしょう。でもその原因は、無責任なモンスターと化した群集心理。その中に自分は入っていないと言い切れるでしょうか。
簡単になびく世論と政治の裏側ではびこる不正をあぶりだす完読必須の意欲作です。最後まで読み切った先に何が見えてくるか。それは読了した人へのプレゼントであり、課題でもあると思いました。

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