魔獣の姿をした花嫁の心はかくも美しい

今宵の結婚式、新郎は誰も顔を見たことがないという仮面の魔術師。新婦は誰にも見られてはいけない醜い魔物。誰も幸せになれないはずの婚礼が二人にもたらしたものは―――真実の愛!

などという甘すぎる言葉は本来私は使わないのですが、この二人なら良いでしょう(笑

仮面の魔術師ルークは確かに変わり者です。美しい女性を抱くことはあってもつまらないとすぐに飽き、魔術以外のことに興味を示さず、ゴミだらけの寝台で初夜を迎えようとするダメっぷり。でもクレアへの興味はすぐに溺愛に変わり、愛する妻を何よりも大切にする真の男。

クレアが魔物の姿をしているのは昼間だけ、夜は可憐な乙女に身を変えます。昼間の姿ゆえに外に出ることはなく、自身の醜さゆえに人を恐れる日々。でもそんな自分の全てを受け入れてくれたルークに尽くし、時には戦う健気なヒロイン。

そんな二人の生活は甘々です。昼間のクレアも歩くのに邪魔な尻尾を腰に巻き付けたり、鱗で服が破れるのを気にしたりいちいち可愛らしくて、ルークもそんな魔物バージョンの彼女を抱こうとして拒否されます(笑

しかしやはり普通ではない二人には、次々と魔の手が伸びてきます。獣の刺客、火トカゲの魔女、謎の魔術師……甘々な恋愛ドラマを望む方にも、魔術師同士の手に汗握る展開を望む方にもお勧めできる秀作、ぜひご一読ください。

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