黄泉竈食
果てしないほど続く一本通り。左右に様々な屋台が立ち並び、喧しいほどに賑わっている。橙の提灯が等間隔に並んでいるのが、無限に伸びてるんじゃないかって思わされる。一体、何の祭りなんだろう。
その通りを見渡しながら歩いていると、或る一軒のカウンター席に座っているオジサンが、ちょいちょいとおれを手招きする。その店の看板には拙い文字で『おいしいすうぷ』と書かれており、何かを煮たような芳ばしい香りが漂ってくる。
のっそりと店の前に近づくと、オジサンは「座れ」とでも言いたげに隣の椅子を叩く。おれはお腹が空いていたからオジサンの言う通りに隣に座り、カウンターを覗き込んだ。すると、鉢巻を巻いた背丈の小さな店主が大きなお玉を握りしめて、すうぷを掻き混ぜていた。その横にはグツグツと蓋が揺れた竈が火にかけてある。
ヨダレが抑えきれないおれは、コレとコレをくれ、とすうぷと竈を指さした。店主は頷き、これまた大きなすうぷ皿に骨付き肉やヘンな野菜などが入った美味そうなすうぷを注いで、おれの前のカウンターに乗せた。背が届くか心配だったけれど、何とか届いたようだ。
さらに店主は揺れていた竈の蓋を開け、湯気に包まれながら、その美味しそうな炊き込みご飯をお茶碗によそう。筍のようなものと、鶏肉のようなものが入ってある。
カウンターがお茶碗に置かれると、おれは「いただきます」と早口で唱えて、勢いよくすうぷを飲み、ご飯を貪った。
四肢小噺 祈月 酔 @kidukisui
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