愛及屋烏

 あなたのことが好き。

 あなたの好きなものも好きよ。


 あなたは車が好きでしょう?

 わたしはドライブが苦手だったのだけど、あなたを好きになった途端に、私もドライブが好きになったわ。助手席に座ってあなたを眺めるのが好き。最近、あなたと同じ車を買ってしまったの。


 あなたは存外甘いものが好きでしょう?

 わたしは甘いものがあんまり得意じゃなかったのだけれど、あなたがあんまり嬉しそうにスイーツを食べるから、わたしも甘いスイーツが好きになってきたの。今じゃもう、次は何処のカフェに行こうかしら……なんて、いつも考えているわ。冷蔵庫はあなたの為のスイーツでいっぱいよ。


 あなたは夜が好きでしょう?

 あなたってば昼間には滅多に会ってくれないもの。わたしは明るいうちにデートをしたいけれど、あなたは夜が好きみたいだから、私も夜のデートを楽しみにするようになったわ。それも、あなたに会えるのは週に一度だけれど。



 あなたはあの娘が好きでしょう?

 わたし、最初はあの娘のことすごく憎んでいたのだけれど、あなたがとてもあの娘を好いているようだから、私も段々あの娘のことを気に入って来たわ。

 今日はあの娘の所に行くの? 別にいいの。私もあの娘のこと好きだもの。


 あなたのことが好き。

 あなたの好きなものも好きよ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る