実録史劇⑤ 長慶さんはホクホク顔、だったけど。

 秀吉は三好長慶さんに会うために、京の都に入った。

 この頃、長慶さんは河内にあるデッカイ飯盛山城を居城とし、京都では上立売かみたちうりの町に豪勢な大邸宅を構え、天下を牛耳っていた。つまり、室町幕府にかわる三好政権を樹立し、西川きよしみたいなメガビッグな目で畿内に睨みをきかしていたのである。


「京の女子おなごは美しいのう。尾張のド田舎ギャルとは、えりゃあ、違うわ」

 などと、ほざきながら歩いていると、目の前にデンと城みたいな御殿がある。

「あんりゃまあ、噂には聞いとったけんど、長慶さんはどえりゃあ屋敷に住んでおるわい。門は金ピカの唐門やで。いやはや天下人だけのことはあるのう」

 と、家来の蜂須賀小六ちゃんに向かってビックラした声を放つ。

 小六ちゃんは猿の声など耳に入らない。(*´σー`)エヘヘとヨダレを流さんばかりに、女の尻ばかり見てウロキョロ状態。


 やがて主従アホ凸凹コンビは、長慶さんの前にハハアーッとひれ伏した。

 口の利き方を知らない野放図なサル秀吉は、馴れ馴れしく長慶さんに言上した。

「長慶さーん。かくかくしかじかで、尾張一国受け取ってチョーよ。その代わり、和泉の隅っこ、頂戴ね。お願い」

「えっ、それってホンマでっか?信長ちゃん、わしの家来になったるってこと?これは、うれしい。うれしゅうおますわ、(*´σー`)エヘヘでんねん。そうでんねん」

「なら、決まりってことで、ええんかのう」

「(・∀・)ウン!!、ええよー」


 秀吉ちゃんは小躍りして、一刻も早く吉報を信長ちゃんに伝えるべく、京の都を後にしたが、これに不満タラタラなのが小六ちゃん。

「京といえば女と酒でにゃーか。祇園、島原なんかで酒池肉林かと思いきや、なんですぐド田舎の尾張に帰るのよ。京都のめんこい女と遊ばしてチョーよ。舞妓さんを抱かしてチョーよ」

「あっ、言ったね。そんなら、ここ最近、オミャーが懸想けそうしておる、あの黒ギャルの桃花ちゃんに言いつけてやるけんね。言うてやろ、言うてやろっ」

 桃花ちゃんは名古屋栄町ガールズバーの売れっ子ギャルである。

 小六ちゃんは、桃花ちゃんの大きいおケツに顔をうずめて、スリスリするのが大好きであった。完全にドヘンタイ野郎である。

 そのお尻美人の桃花ちゃんに嫌われては大変!小六ちゃんは😞ションボリ、猿とともにやむなく尾張へと引き返したのであった。(;´д`)トホホ。

 

 その頃、京都の三好邸では、長慶さんが松永久秀ちゃんにネチネチ叱言こごとを言われていた。

「あのね。なんでそんなこと、勝手に決めるのー。わし、これでも三好家の家老でっせ。第一、アンタがここまで偉くなったのは、誰のおかげでっしゃろ?」

「😞は~い。久秀ちゃんのおかげでーす」

「んなら、この一件ボツにさせてもらいまっせ。あんな猿の言うこと、信用できまへんさかい」

「えっ、そうでっしゃろか」

「考えてもみなはれ。信長ちゃんは、叔父ちゃんや弟まで殺してのし上がった冷酷漢でっせ。アンタの首かて隙あらば狙いまっせ。どんな陰険なことを考えているのやら、わかりまへん。しかも、あのチョン切った今川義元の首を、ナデナデしながら添い寝したという噂、聞いてまっか?」

「おお、こわ」

 というわけで、信長ちゃんからのプレゼン企画はお流れとなりましたとさ。


 ――終わり名古屋


 ※なお、この物語は国枝清軒編纂の『武辺咄聞書』という軍学書の内容をコメディータッチに脚色し、かなり逸脱ぎみに書き直したものですが、大筋では当時、こんな話が織田家と三好家で交わされたそうです。

 無論、国枝清軒自身が耳にした噂話の聞き書きですので、真偽定かならず。それでも、江戸時代の多くの武将の間でまことしやかにこの話が語られていたそうです。

 時代劇コメディーで、もっとクスクス笑いたい方は、同カクヨム投稿作品の拙著『へたれ藤吉郎』をお目通しください。この『信長ちゃんと三好長慶さん』より、はるかにアホらしく抱腹絶倒ですので、電車内では読まないでくださいね。危険です。

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信長ちゃんと三好長慶さん 海石榴 @umi-zakuro7132

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