必然の別れと偶然の出会い。


 田舎のばあちゃんが亡くなった。
 わざわざ帰省するのも億劫になり、顔を見せることも最近はしなくなっていた。
 後悔の念を抱きつつも乗った新幹線で、おせっかいな女性と隣同士になって……



 読んでいて不思議な高揚を覚えた作品でした。
 見知らぬ人との一時の出会いと、身近な人との永遠の別れが、「一期一会」という言葉によって結ばれ、繋がっていく。
 切なくはあるのですが、そういった悲喜交々の繋がりが人生を形作っていくのだろうと、そう思わせてくれました。

 また、お葬式の雰囲気――悲しいだけでなく、喪主の慌ただしさであったり、親族が一堂に会して話し合う機会になったり、というのがまたリアルでした。

 現実を描きつつも、そこに幻想的な要素が少しだけ加わって、独特な読み味になっている作品です。

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