オヤフコー、コノヤロー


 このエッセイは、とある親不孝者の内面を赤裸々に語ったものである。

 書かれている内容に賛同するのも反対するのも簡単にできる。

 読んだ私もまた親不孝者に該当するもので、
 だからこそ「満たされた現状を感受できない甘ったれた自分」と「受けた傷の痛みが消えない自分」が取っ組み合いする状況は目に浮かんでくる。

 賛同するのも反対するのも、そもそも何か口を挟むこと自体、正直言って望んでいないんだろうなと思う。

 それでも出した理由について、強いてあげるなら、
 自分の胸の奥から出てきたこのどす黒い何かはとても褒められたものではないが、それを見て見ぬふりするのは、自分を否定することになるので、死ぬほど嫌だったのだと思う。

 両親との関係を描いている本作だが、テーマは人間関係全般の愛憎に通じるものがあった。