深い深い森の奥で
深い深い森の奥に
黒に紫をあしらったワンピース、赤い裏地の黒
「行きますよ、ポンタ」
最後に、
「行こうか、ロナちゃん」
「はい!」
「また手ぇ
お父さんとお母さんのお墓にご挨拶をして、
全身にぼろぼろの包帯を巻いた
「ロナちゃん!待ってたよ!」
「お待たせしました、ロセリィちゃん」
大通りの両側に屋台が並ぶ中、私と同じような吸血鬼の格好をした女の子が待っていました。後ろには
「ぷっ……正体ばればれですよ、リアンさん」
「ねー。私もそう思うの」
「恐縮ですが、それはロナリーテ殿も変わらぬかと」
オピテル侯国は昨年からの騒動で領地を大きく削られたものの、リアンさんの後見を受けたロセリィちゃんが継ぐことでひとまず落ち着きました。
『黄金の騎士』リアンさんは全ての責任を負うつもりだったのですが、オピテル侯爵ワラゴ・アエネウスが生存していたため、その責は老侯爵が負うことになりました。『何もしなかった男』と呼ばれた人は、何もしないことで最後に責任を取ったのです。
「なによロナ、もう来てたの?師匠に挨拶ぐらいしなさいよね!」
「主君に向かって何て口の利き方だ、クソガキ」
杖の代わりにチョコバナナを持ったフリエちゃんと、骸骨騎士の格好をしたエミーロ君。また口喧嘩になるかと思ったのですが、吟遊詩人の格好をしたシャルナートさんが止めに入りました。
「おいガキども、油断してんじゃねえぞ。こんな
「うふふ。大丈夫ですよ、今日はお祭りなんですから」
「はぁ……これだからガキは」
「なあアイナ、あれってナニ?」
「りんご飴、知らないの?買ってあげよっか」
特に仮装をしていない魔龍公イブリリスも、
それだけではありません。
エルトリア王国の王様は『
それから半年余り。少しずつではありますが、その名の通り様々な種族が移り住み始めたのです。
「どうしたの?ロナちゃん」
「えへへ。私、幸せだなって」
かつて私は、深い深い森の古城に一人で暮らしていました。
アイナさん、シャルナートさん、フリエちゃん、エミーロくん、ロセリィちゃん、この大切なお友達も、いつか年を取って私より先にいなくなってしまうのでしょう。
でも寂しくはありません。私にはやることがありますから。
亜人種自治区。人族も魔族も亜人種も半獣人も、誰もが差別されることなく幸せに暮らせる場所。みんなの思いを繋ぐ場所を、いつまでも見守りたいと思います。
この場所に生を受ける全ての者に幸あらんことを。
◆
最後までお付き合いくださりありがとうございます。
身に余るハート、星、コメントに励まされて、臆病で泣き虫だったロナちゃんも幸せな結末を迎えることができました。ロナちゃんに代わってお礼申し上げます。
なにかと失敗もありましたが、私はこの作品とキャラクター達を愛しています。失敗も後悔も愛情も全て抱えて次に望みたいと思います。
(2023/11/5)本日より『凡才少女は勇者の夢を見るか』
https://kakuyomu.jp/works/16817330666314616592
の連載を開始しました。よろしければこちらもお付き合いください。
小さな吸血鬼さんじゅうにさい 田舎師 @wasapi
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