触れるのは物。でも触れたのは、思い。

 特殊な能力を持ってはいるけれど、自分自身にコンプレックスのある管狐。仕事のない日はゆっくり休めばいいのに、返って落ち着かなくなるのは彼女が抱える出自に対する複雑な思いのせい? 管狐をさりげなく気遣う雇い主の術者、その気持ちに触れ安息を手に入れる管狐。
 たった1500字程度の短編ですが、登場人物の関係性や背景に安定感や奥行きがあり、ほっと安らぐお話です。