特殊な能力を持ってはいるけれど、自分自身にコンプレックスのある管狐。仕事のない日はゆっくり休めばいいのに、返って落ち着かなくなるのは彼女が抱える出自に対する複雑な思いのせい? 管狐をさりげなく気遣う雇い主の術者、その気持ちに触れ安息を手に入れる管狐。 たった1500字程度の短編ですが、登場人物の関係性や背景に安定感や奥行きがあり、ほっと安らぐお話です。
この文章には力がある。そう思いました。読者を物語の世界に引き摺り込む力が。この、中々類を見ない設定。それを苦にさせない繊細で緻密な描写。ありありと情景が思い浮かびます。そしてこのタイトル!敢えて多くは語りますまい。野暮ですから。ですが、読了後あなたは必ずタイトルを再確認する事でしょう。保証します。