キャラクターが立つとは?

 前回は、『ファンタジーは中世ヨーロッパじゃないとダメ?』をテーマにして記事を書きました。「メイドインアビス」面白いのでぜひ読んでみてくださいね!


 さて、今回題材とすることは『キャラクターが立つとは?』です。

 立つと言っても、立ち上がる方ではなく、読後いつまでも記憶に残り続ける。いわば個性あふれるキャラクターのことです。

 では、個性や魅力がたっぷりなキャラクターを生み出すにはどうすればいいのかについて、個人的な所見をお話ししたいと思います。


 今回も例として使用する作品があります。

 例として使うのは「響け!ユーフォニアム」シリーズ(長いので次からは「響け!」と表記)。

 主人公の女子高生、黄前久美子が北宇治高等学校吹奏楽部でのさまざまな仲間との交流を通して、全国大会金賞を目指すお話。

 この作品、吹奏楽をテーマにしているだけあってとにかくキャラクターの数が多いです。しかも部員全員に名前がついているという狂気……。

 しかし、それほど多くのキャラが登場するだけあって、キャラ付けという面では非常に勉強になります。


・アクセサリーなど、外見的特徴で分ける


 まず一つ目は、外見的特徴で見分けさせるということです。

 例えば先ほどの「響け!」では、主な登場人物のほとんどが吹奏楽部員です。みんながみんな基本的に同じ制服を着ていて、吹奏楽が舞台ということもあり圧倒的な女子の多さ。

 なかなかキャラを分けることは大変そうですよね。

 そこで行われている一つ目のキャラ付けは、外見で分けることです。

 髪色や、髪型、身長や学年(学年ごとに制服のデザインを変えるなど)でキャラクターが分かれていると、各々のキャラがピシッと立ちます。

 他には担当楽器で差別化することも「響け!」ならではですが、効果的です。

 もし、登場する女子高生のほとんどが黒髪ボブのシースルーだとしたら、リアリティはあるのかもしれませんが、外見の説明文だけで読み手がキャラを判別するのは難しい……。

 ならば、大きなリボンを頭につけてみたり、ツインテールにしてみたり、丸メガネをかけさせたりと『デザイン』の面で工夫してみれば、ぱあっとキャラクターに多様性が生まれるのではないでしょうか。


・口調やくせ、内面的特徴をデザインする。


 一つ目の説明を聞いて、

「なんだ、これなら自分にもできるわ!」

と思った方もいるでしょう。

 では、内面的な特徴、というものはできていますか?

 「響け!」で例えてみると、主人公の久美子はファンの間で失言王と呼ばれるほど物語の中で失言が多いです。最序盤からアクセル全開で失言します。

 加えて、胸の大きさにコンプレックスを抱いていて「高校生になったら胸が大きく……」なんていうとてつもない独白を書かれていたりもします。

 頭に大きなリボンをつけている、デカリボン先輩こと中川優子は一つ上の先輩を「マジエンジェル」と形容するような人物でありながら、気丈な人です。


 このように多少なりともニッチな要素を含んだキャラクターの方が印象に残りやすく、かつ魅力的に見えると思います。

 皆さんは、ただ内面的特徴と言っても「優しい」や「怒りっぽい」など、一言で言い表せるような性格だけでやめてしまっていませんか?

 内面的特徴を際立たせるコツは、『そのキャラクターがどんな人生を歩んできたのか』を考えることだと思います。

 物語が始まる前から主人公は生きているはずですし、主人公の住む世界はそれよりもっと前からあるはずです。

 性格やくせは、成長していく中で受けるいろいろな影響によって発現するものですから「彼ら彼女らの過去にこんなことがあったから、こういう趣味や嗜好ができたんだ!」と考えることでキャラクターが立つと思います。

 これを考えることで過去回想や、他キャラとの関係性も際立たせることができますし、何より深くキャラクターのことを考えてあげることで物語の中でのキャラのブレも軽減できます。


 以上、キャラを立たせるためには『外見的特徴』と『内面的特徴』をしっかりとつけることをお話しました。

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