胸がすくという言葉は、きっろこういう時に使うものでしょう。
本作の主人公たちに対する圧倒的な信頼。『こいつら』だったら絶対になんとかしてくれる。読み進める中でそういう「安心感」が得られるところが、特に魅力を感じるポイントでした。
主人公は高校生でマジシャン志望の麗人。その相棒である腕っぷしの強い黒川。そして成績優秀な一馬に、ちょっとおっさん臭くてムッツリスケベな江平。
この四人が通う高校の近辺で、通り魔事件が多発する事態が発生する。
今回のエピソードは黒川に特にスポットが当たり、彼の過去や、彼と親しくしていた幣原ルイという少女が事件と関わっている可能性があるのが見えてくる。
本作はどことなくレイモンド・チャンドラーの『長いお別れ』などに連なる、ハードボイルドな私立探偵小説に通ずる味わいが感じられました。「社会の裏で蠢く犯罪」と「それに巻き込まれて苦悩する、立場の弱い女性たち」、「それを救ってやろうと必死に動く男」という構図。
何十年もの時を経て多くの人に愛され続ける、あのフィリップ・マーロウを思わせる趣もあり、読んでいてつい胸が熱くなる場面が何度もありました。
黒川という男の強さや熱さ、更に麗人との絶妙なコンビネーションや信頼関係。そして勧善懲悪がなされる安心感と爽快感がしっかり味わえます。。
強く読者の心に刺さる要素の数々に、読めばきっと魅了されること間違いありません。
木坂麗人と黒川遥、問題児として有名な高校生二人。
気にならないことは完全スルーなのに、気になることは納得するまで行動する彼らの姿がかっこいいです。当たり前のように背中を預け合える麗人と黒川のバディっぷりもすごく素敵で憧れます。
あるとき二人が通う高校の宮町先生が暴力事件に巻き込まれ、怪我を負ってしまう。また、クラスメイトの父親も似たような事件に遭ったという。その事件の犯人に見覚えがあった黒川は首を突っ込むことを決めるのだが――
友人の岬井一馬と江平弓弦も加わり、四人は事件の真相に近づいていく。
全体的にしっとりめのストーリーではありながら、高校生らしい場面もあって微笑ましく、四人の掛け合いも楽しいです。誰にも止められない彼らをぜひご覧ください。
助けたいのは、過去の友人。
ただ、それはある意味、過去の自分を救うことでもあり。
迷彩服と、サングラス。普通の人なら積極的にはかかわり合いたくない。そんな男。
男が頼りにするのはイケメンタキシードマジシャン。彼は、相棒か、相方か。
……助けがいるなら、仕方ない。
助っ人は、二人。
弾けるツッコミ、優等生。眼鏡という名前の仮面を外せば目つきの悪い、短気な男。
もう一人は、あらゆる車輪に弱く、自転車に併走する脅威の脚力、大きな体躯の扇つかい。
四人の、仲間。そう言えば、否定されるかな?
それでも、頼まれたなら、助けましょうと。
そんな四人の、人助け。
いえ、仲間から頼まれたから、仲間助けです。
ぜひ、ご一読を。
どうぞよろしくお願い申し上げます。