凶悪犯罪の発生! だが、『こいつら』だったら絶対勝てる!

 胸がすくという言葉は、きっろこういう時に使うものでしょう。

 本作の主人公たちに対する圧倒的な信頼。『こいつら』だったら絶対になんとかしてくれる。読み進める中でそういう「安心感」が得られるところが、特に魅力を感じるポイントでした。

 主人公は高校生でマジシャン志望の麗人。その相棒である腕っぷしの強い黒川。そして成績優秀な一馬に、ちょっとおっさん臭くてムッツリスケベな江平。

 この四人が通う高校の近辺で、通り魔事件が多発する事態が発生する。

 今回のエピソードは黒川に特にスポットが当たり、彼の過去や、彼と親しくしていた幣原ルイという少女が事件と関わっている可能性があるのが見えてくる。

 本作はどことなくレイモンド・チャンドラーの『長いお別れ』などに連なる、ハードボイルドな私立探偵小説に通ずる味わいが感じられました。「社会の裏で蠢く犯罪」と「それに巻き込まれて苦悩する、立場の弱い女性たち」、「それを救ってやろうと必死に動く男」という構図。
 何十年もの時を経て多くの人に愛され続ける、あのフィリップ・マーロウを思わせる趣もあり、読んでいてつい胸が熱くなる場面が何度もありました。

 黒川という男の強さや熱さ、更に麗人との絶妙なコンビネーションや信頼関係。そして勧善懲悪がなされる安心感と爽快感がしっかり味わえます。。

 強く読者の心に刺さる要素の数々に、読めばきっと魅了されること間違いありません。

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