第2話

 3回目。

 ブザーが鳴った。

 かくれんぼは案外早く終わるものなのか。山本、知らない女性、隣にいたお婆さんの順で、3人が見つかった。

 今日はよく寝よう。死んだ3人のことは忘れて。

 そしてまた、始まってしまうのか。

「1、2、3、4…」

 2回目、3回目と同じように、カーテンの上に手をかけて足を浮かせる。これまでに見つかった人は全員、カーテンの下から足を出していた。推測通りなら、最後まで見つかることはないだろう。

 ところで、荒木はどうするのだろうか。気になって仕方がない。

「…9、10。もういいかい。」

 何も聞こえない。

「探しに行くよ。…みいつけた。」

 すぐにカーテンに血が滲んでいくのが分かった。見つかったのは、私だ。私の左手首が切り落とされた感覚がほんの少しだけ。残された右手で全体重を支えなければいけないのか?

 …今度は、ぼんやりとした視界が丸ごと横たわるのが分かった。右手だけでは自分を支えることができずに、すぐに離れてしまった。

「…みいつけた。」

 ぐさっ。


「っはぁっ!」

 息を呑んだ。死を覚悟していたのに、まだ生きている…ような気がする。横たわった時と同じ姿勢で、ベッドの上にいた。手首も頭も、まだ残っている。

「よし…まもなく第4ゲームだ。さっさと入れ。」

 僕が体験した死は、あまりに現実的だった。どうにか別の手段を考えなくてはならない。でもどうするべきだ…

「1、2、3…」

 結局、僕は1つも案が出せなかった。ガクガクと震えている両手で、今まで通りにカーテンの上に手をかける。僕は死ぬかもしれない、いや、おそらく死ぬだろう、きっと。

「…6、7、8、9…」

 時が来た。さらにガクガクと震えを増す手から、汗がはっきりと出ているのが分かる。

「10。もういいかい?…探しに行くよ。」

 僕は、人生最大の神頼みをしている。

 お願いします。助けてください。どうか、お願いします…

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カーテンかくれんぼ(作品移行) 噂のはちみつ @honey0108

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