カーテンかくれんぼ(作品移行)
噂のはちみつ
第1話
知らない顔が20個ある。そのうち19個は人のようで、あと1個はお人形さんのようだ。
お人形さんのような顔が数を数え始めた。
「…8、9、10。もういいかい?」
誰も何も言わない。それもそのはずだ。だって今は「かくれんぼ」をしているんだもの。かくれんぼで「もういいよ」なんて喋ったら、ある程度居場所がわかるじゃないか。
…にしてもこの部屋はいびつだと、改めて思った。かくれんぼをするにしては不向きすぎる。何故なら、この部屋には窓がないくせにカーテンしかないからだ。これじゃ、足が見えて見つかるじゃないか。だから私は、カーテンの上に手をかけて足を浮かせている。これなら絶対に見つからないでしょ。
「…探しに行くよー」
お人形さんみたいな顔のお人形さんが動いた。
…
「…みいつけた」
その瞬間、黄色のカーテンに隠れていた男の片方の足が切り裂かれたような音がした。男は叫びながらその足と健全な足で必死に耐えている。男は体の他の部分を晒したら、他の部分も切られると思っている。
…
そして、ブザーが鳴った。今日は誰も負けなかった。
「皆様、第2ゲームお疲れ様でした。次のゲームに備えてください。」
まだ2回目か。あと何回続くのだろうか。
そんな不安を掻き立てるように、見つかってた男が何度も叫んでいる。男の足は、既に片方の膝下が無くなって、赤黒い液体が男のベッドに付着し、広がっている。
「おい、おっさん。うるせぇんだよ。全員ピリピリしてんだからよぉ、騒ぐんじゃねぇよ。」
いかにも反社会的な顔の男が全員にギリギリ聞こえるぐらいの声量でぼやいた。
「っ、ふざけるなぁ!俺は足が1本無くなったんだぞ!その痛みがわかってたまるかぁ!」
「痛みなんか知るわけねぇだろうが!お前もこんぐらい怪我するとか、死ぬとか、そういう可能性を覚悟した上で来てるんだろって!だったら足の1本ぐらいで騒ぐなって言ってんだよ!」
「黙れ!」
第3者となって、そう叫んだのは黒服の男だった。両腕でライフルのようなものを抱えている。
「お前ら全員黙れ!おい荒木!山本!今ここで撃ち殺してもいいんだぞ!あ?」
おそらく荒木は足のない男、山本は反社会的な男だろう。どっちにしろ、この一件で少し情報が稼げた。
「…まもなく第3ゲームだ。さっさと入れ。」
黒服が唱えた言葉は、今聞きたくないただ1つの発言と全く同じものだった。
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