第30話
人間誰しもが持っているという魔力。
それを何故かはわからないが僕は一切持っていなかった。
「すげぇー、魔法だー!ヒャッホー!」
僕は自分の手の平から炎を出しながら歓声を上げる。
魔力を持たぬ僕。
そのはずなのだが、僕は何故か魔法を問題なく使うことが出来ていた。一体どういうことなのだろうか?
僕の内側から湧き上がってくるポカポカとした力をこう良い感じにすると魔法が使えるのだ
なんとなくで魔法どかん!実に心地が良い。
「……あれはどういうことなのでしょうか?魔力が無いことは確認しましたし、妖力でないことも確認しました……でしたらあれはいったい何をエネルギーとしているのでしょうか?」
それは僕もわからない。
零さんの呟きに僕も一緒に内心で首をかしげる。
「……ッ!で、出来た!出来たよ!」
そんな最中、僕と共に魔力を使っての術の発動を訓練していた真倉さんが歓喜の声を上げる。
「おぉー!よくやったじゃねぇか!さすがだぜッ!」
そんな真倉さんへとその訓練を付きっ切りで見てあげていた有栖さんも歓喜の声を上げる。
「一生懸命教えてくれた有栖のおかげだよ!」
そして、真倉さんは有栖さんへ感謝を口にする。
「おぉー、ちゃんと真倉さんも使えるようになったみたいだね」
「……貴方はちゃんとかどうか疑わしいですけどね?」
そんな二人の様子を少しだけ離れたところで見ていた僕と零さんが簡単な言葉を交わす。
「別に良いじゃん。僕のだってれっきとした魔法だよ。奇跡だし」
「術理ですよ……魔力を使って発動する術理です」
魔法と口に告げた僕の言葉を零さんは首を振って否定する。
「そこは魔法じゃないの?」
「術理です」
「魔法」
「術理です」
「いや……でも魔力」
「それでも、術理なのです」
陰陽寮に管理され、陰陽頭を頂点に持つ祓魔士。
魔力を使って発動する術理。
変なところで西洋を参考にし、ややこしいことになっている名前の制度……術理と言う単語に違和感を覚える僕に対して零さんは術理で押し通した。
妖が蠢く現代日本最強の祓魔師はお腹が空いた!妖?呪物?怪物?……よくわからんが全部美味しいぃぃぃぃぃいいいいいい! リヒト @ninnjyasuraimu
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