第29話

 零さんは解説を続けていく。


「まず、祓魔士とは何か。これから話していきますが、すごく簡単に言うと妖と戦うもののことを指します」

 

 そんな零さんの口から飛び出してきた言葉は本当に簡単な説明であった。


「基本的に祓魔士の世界で重要なのは才能であり、一子相伝の形で技術を継承し、脈々と血筋を保ってきている一族がほとんどでそれらの一族の人間が主な祓魔士を担います」

 

 実はうちの母と父もそんな一族の家系の中だったりするのだろうか……?

 いや、絶対にないな。


 普通に考えてガラの悪い愛人にボコボコにされて白骨死体になっている父と酒カスヤ二カスギャンブル並びにセッ〇ス依存症な薬中の母がそんな高名な一族の人間であるはずがない。

 人類の最底辺のような人間二人だ。

 

 特に母なんて本当にひどい……性病患い過ぎてもう性器が膿んでぐちゃぐちゃ。もはや売り物になく、男に快楽を与える道具にすらならない。

 ホームレスも買わないような性器を持つ薄汚い30代の女性が夜職で稼げるわけもなく、当然他の職種も無理。

 

 酒とたばこで意識を飛ばしながら手に入らない薬と男の性器を求めて発狂しているような女がそんな歴史ある一族の人間だとは思えない。

 というか、信じたくもない。


「祓魔士は各々の流れている妖の妖とは違う魔力を用いて戦闘します。魔力は人間であればだれでも持っているものですが、実践レベルで使えるだけの魔力量を、そしてなおかつそれを扱えるだけの才能に妖を知覚する才能。それらを高次元に必要するため、普通の人は祓魔士になることが出来ないのです」


「僕は?」


「私は?」


「心配なさる必要はありません。佐奈殿の保有している魔力量は我々の中でもトップクラスですし、それを操る才能もあるように見受けれらます。問題なく強き祓魔士となれるでしょう……後、唯斗殿は聞く必要ないでしょう。貴方は既に日常的に倒しているのだから」


 ……いや、そうだけど。

 それでもやっぱり自分に才能があるのかどうかとか知っておきたいよ?魔法とか僕も使ってみたい。


「それでは次に具体的な魔力の使い方を教えていきましょう……と、ここでまず場所を移しましょうか。ここでは何ですし」

 

 そんな僕を無視する零さんの言葉を聞いた僕と真倉さんは大人しく席を立ち、零さんに従って移動を開始するのだった。

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