画期的なシステムを開発した大学院生ですが、教授達にイチャモン付けられ、成果だけ盗まれそうです

@HasumiChouji

画期的なシステムを開発した大学院生ですが、教授達にイチャモン付けられ、成果だけ盗まれそうです

「では、何か、御質問は有りますか?」

 他の研究室の先生達も含めた修士論文の中間発表は、一応、終った。

 そう……発表だけなら。

 でも、論文の発表って奴は、質問時間が本番だ。

 発表練習だって、論文の中身の説明より、質問時間の想定問答に力を入れ……いや、そっちにこそ練習時間を割くのが理想的だが、万事、理想的に行く訳じゃない。

「最初の方のスライドの……システムの概要図を、もう1回、映してもらえますか?」

 同じ大講座の長老格の教授が、そう言った。

「は……はい……」

 表示された図は……。


[文章]→[特徴抽出]→[パターン認識]→[結果]


「入力された文章を解析して『文章の癖』を数値化する技術の基礎理論は……三十年ぐらい前に確立されたものですよね?」

「え……えっと……はい……」

「パターン認識のやり方も……学部の2年で習う奴ですよね?」

「ああ……は……はい……」

「そのシステムの成果は素晴らしいと思いますが……研究としての新規性はどこに有るんですか?」

「え……えっと……」

「君は博士課程に進学予定なんで……修士論文の発表までには、私の質問の答を用意しておいて下さい。いいですね?」

「は……はい……」

というコンセプトは面白いですが、営利企業がやるべきモノで、大学で研究すべきモノかは……疑問ですね」

 まぁ、そこまでは、言ってる事はムカツくなりに……一貫したモノだったが……。

「ああ、ところで、そのプログラムのソースコードと学習データを非常勤を含めた工学部の全教員に送って下さい。可能なら、オープンソースとして公開してもらえますか?」

「へっ?」

は、大学の教員にとっては喉から手が出るほど欲しいものですよ。

 そして、その教授は俺の方を見て、こう言った。

「君のアイデアの傾向からして……博士課程に進学するより、民間企業に就職するか自分で起業した方が良くないですかね?」

 就活シーズンが終ってから、そんな事言われても……。

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