概要
「好きな言葉があるんだ」
ぬれた髪をかき上げて、すこし声に明るさの宿りはじめた彼女が笑って言う。彼女はいま僕の車の助手席に座っている。結局、僕は彼女を放っておけなくて、車に彼女を乗せたのだ。もちろん会社へ向かっているわけではない。優しい上司には申し訳ないが、やっぱりきょうは行けません、と心の声でちいさく添え、さぼり決定だ。まぁきょうはもともと、会社に行くような心持ちではなかったのだ。本来の行動に戻っただけだ。
おすすめレビュー
書かれたレビューはまだありません
この小説の魅力を、あなたの言葉で伝えてみませんか?