正しさの溢れた海を泳ぐ幻の魚の話

架空原作の世界に転生した最強主人公の物語。
近未来を舞台としたVTuberに代わるVliverと言う配信者達が流行している世界、そして世界的に人気なeスポーツ『ポシビリティ・デュエル』通称PDで世界最強の一角と言われた主人公が原作主人公と敵対する筈の事務所のVliverに依頼を受け、交流を重ねて成長していく物語。
主人公はやや口下手で可能性を突き詰めて行く事にしか興味が無く、その為に過去に行った事や関わった相手を尽く忘れている。唯一自身と対峙し可能性を示した相手を記憶していて、その為にトラブルも多く嫌われやすい。しかし、誠実で嘘を吐くのも下手でそんな彼に意図せず救われる人も居る。
何より特徴的なのが 架 空 の 原 作 よ り も 主 人 公 の 方 が 強 い 。
意味が分からないかも知れないが、本当にコレである。この辺りは本編を読まないと納得出来ない。

作風は古き良き小説スタイル、プロローグは主人公の立ち位置の説明。続いて世界観と話題となるPDの説明、その後に各キャラの掘り下げへと移る。このeスポーツPDのルールが作り込まれており、ルールを知れば知るほど最強の一角と謳われる主人公のぶっ飛び具合が分かる。最強では在っても無敵では無い。PDのルールで無敵の存在は生まれない、そのバランスが非常に上手い。
一話一話の文量が多く、設定も細かい為何気に敷居は高い。流行りの一話が短めで、読みやすさ重視を好む人には忌避しやす物だと思われる。
個人的には是非ともキャラの掛け合いや、主人公が何故最強と言われるのかを理解させる戦術理論や技術の魅せ方を一読してみて欲しい。

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