まず始めに、この物語は万人受けするものでは無い。
親友と作り信頼出来る仲間達で育てたパーティ、そこから追放された少年が主役の所謂追放系の物語である。
基本は主人公を中心に据えた三人称視点が多く、回想に当たる話は一人称視点にうつる。作中に散りばめられた情報はかなり多く、ちょっとした解説が入った内容が重要な場面で顔を出してくることも。更には残酷な描写も入れてくるので結構注意が要る、日常描写や会話はジョークを混ぜつつ丁寧にやってくる上にそこから理不尽までの重い話が始まったりするので油断出来ない。
一章の後半で何故追放に至ったのかを親友側からの視点で語られる。はっきり言おう、心が弱いと鬱に入る。歴戦の鬱作品好きなら軽いレベルかも知れないが、普通の耐性くらいだと辛さで読むの止めるレベル。直前までの流れからどうしてこうなるんだよと叫びたくなる事をぶっ込んでくる、流石はハーメルンで心のないキャラのフュージョンライズとか言われただけ有る。
この世界の根本はきっと理不尽で出来ている。
立ち塞がる敵の強さも、その生まれも。全ては理不尽から生まれた。でもその理不尽を敷いたのは、刃を向けられる人間に無いと本当に言えるのか? これは、そんな物語。
一話あたりの文字数はカクヨムの相場より確実に多く,溜めの展開にもしっかり話数を割くため,人を選ぶことは否めません。
しかしながら,「異世界史実大河」のタグに違わぬ骨太な世界観と説得力のあるキャラクター描写には,そのハードルを差し引いても一読の価値があります。
表題はルターの言葉ですが,私はこの作品の主人公の在り方から,アメリカ西部開拓期の偉人,ジョニー・アップルシードを連想しました。
この物語の主人公に課せられた使命。それは人々の未来を守るため,人類にとっての滅びの芽を摘み,明日へと続く道を作り続けること。その過程で知った個人の悲劇,人類に滅ぼされた生命の怨嗟,それらを生み出す人類の業と向き合いながら,主人公は終わりの見えぬ闘いに身を投じていきます。人類の在り方が根本から変わらない限り,終わることのない闘いに。
主人公の旅路がどのような帰着を見せるのか。その時に世界の在り方は変わるのか,このままなのか。そんなことに思いを巡らせながら,日々の更新を心待ちにしています。