第五章 元の世界へ
病院を退院してから僕は早速夢に出てきた水族館や遊園地に行くことにした。
さすがに一人で行くのは寂しいので、恋人の白石さんを連れて僕は水族館にまずは行った。
「今日は翔太君から一緒に水族館に行こうなんて誘うのは珍しいですね」
「僕はここ最近入院とかしていたから、たまには一緒に行くのも良いのかもしれないなって思って誘ったけど大丈夫だった?」
白石さんは僕に
「最初翔太君から誘われたときとても嬉しかった」
と言った。
僕はそう言ってくれて嬉しいよと言って、僕らはとりあえずチケットを買い館内に入ると、まずは鹿島のお魚というエリアで、鹿島近海を泳いでいる魚たちが水槽の中で泳いでいた。
沢山の種類の魚たちが泳いでおり白石さんと一緒に魚を見るとなぜか自然と涙が出てきた。
なぜだろうか、僕は涙をこらえきれずハンカチで目を拭う。
すると白石さんが僕に
「急に泣いたりしてどうしたんですか?」
僕は彼女に分からないけどなぜか涙が勝手にあふれ出るんだよ。
白石さんは僕にハンカチを差し出し
「これで涙でも拭いてください」
と言った。僕は彼女からハンカチを受け取ると、涙を拭き、しばらく目元をハンカチで押さえていると、彼女はハグをしてきた。
「大丈夫ですよ、私はここに居るので、好きなだけ私の胸で泣いてください」
その言葉で僕はふと思い出した
「蒼」
その言葉のフレーズはとても懐かしくそしてどこか切なかった。
なぜ僕がそう思ったかは分からない。
だけどきっと何かがあるんだろうと僕は思ったとき案内人のソラが僕の前に現れた。
「おめでとうございます、翔太さん」
彼女はそう言って僕に声をかけてきた。
僕はここで話すのは、はやばいのではないかというと
「安心してください、今は時の流れをものすごくゆっくりと動かしているので、ここで普通に話しても大丈夫です」
僕はひとまず安心し、一体どういうことなんだと言うと
「あなたは今過ごしている世界の、ある人物の名前を覚え出しました。元の世界へ帰れる大きな鍵を今入手済ました。しかしあと一つ要素が必要なのです」
彼女はニコッとしながら言った。
僕はその一つの要素とはと訊くと
「その人と関わりの深い出来事です。その人と密接な何かを思い出すと、それが鍵となり全ての鍵が開き、あなたは元の世界へと戻れるのです」
ソラはそう言ってまた消えていった。
ソラが消えると時の流れの速度は元通りになり、僕は白石さんに
「もう大丈夫、ありがとう」
と言って離れた。
すると彼女は僕に
「それは良かったです」
と言って水族館を回り楽しみ、気がつけば結局、僕は何もきっかけを探しきれずに終わった。
水族館からの帰りのバスを待つ間、僕は他の場所に行ってきっかけを探さないと行けないのかもしれないなと思い、一人考え込んでいると
「今日はありがとうございました、翔太君」
僕は一人考え込んでいたので、急に白石さんがお礼を言ったのに驚き
「あ、こちらこそ急な誘いに乗ってもらってありがとう」
と言った。
そして、僕たちは帰りのバスに乗り、しばらくバスに揺られていると彼女が僕に
「いつかまた、久しぶりに二人で遊園地にでも行きたいですね」
白石さんは僕ににこやかに言う。僕はそうですね、遊園地に今週の日曜日にでも予定がなければ一緒に行きましょうかと誘うと、予定を確認してまた後で連絡しますと言って、バス彼女の最寄りらしいバス停で白石さんはバスを降りて帰って行った。
僕は彼女と別れた後、残り六日、どうやって残りの鍵を手に入れるか家に着くまで考えた。
*
翌日僕は目が覚めると何と、昨日の記憶が残っている。
きっと昨日一つ目の鍵を開けたのがきっかけなんだろう。
だが肝心な自分がどこの大学で、どこの学部に所属しているかは分からないままでいた。僕はやはりあのソラが言ったとおり、元の世界に戻る鍵となる記憶だけは残るようで、僕はタイムリミットの五日目を過ごすため、パソコンを起動しファイルデータを確認しリビングへと向かった。
リビングに行くとアイスコーヒーとトーストが朝食として準備してあり、今朝も母親はバタバタとして出て行った。
僕は昨日の日記を朝食を食べ終えると読み直し、今日も一日頑張ろうと声に出して言い、大学へ行く準備を整えると、スマホで行き方を検索して大学へと向かった。
大学に着くと僕の事を知っている安藤さんが僕を学校の入り口で待っており、そこから僕が講義を受ける教室へと連れて行ってくれる。
僕は彼の後を付けながらありがとうと言って教室に入ると、教室の一番後ろの席に座り僕は講義を受ける準備をする。
するとおはよう翔太君と昨日水族館で訊いた声事のある声が聞こえ、僕は振り返ると白石さんがいた。僕は今日同じ講義だったんですねと言うと
「そうだよ、ねぇ、この後翔太君は講義無いからさ、講義終わったら一緒に行って欲しいところがあるんだよね」
僕はどこに行くんですかと言うと、彼女は僕に一緒に前行った海に行こうと言った。
僕はきっと暇なので良いですよと言うと彼女はやったー、と言い僕らは講義が終わるとそのまま直で海に行くことになった。
海に行くにまでは少し時間がかかったが、何の問題も無く海に来られた。
僕は白石さんに
「やっぱり海は良いですね」
と言うと白石さんはそうでしょと言った。
僕は白石さんについて行き、空いているベンチに腰をかけて休憩すると
「ハイこれ」
僕はそう言われ渡されたのはお弁当だった。
僕は白石さんに
「わざわざお弁当まで作ってくれたんですか⁉」
と言うと白石さんは僕に
「今日ここで一緒にお昼ご飯食べたいなと思ったから作っただけだよ」
彼女はニヒヒと笑って僕に言う。
僕はありがとうございますとお礼を言って二人で仲良くお弁当を食べ夕方まで一緒に海で時間を過ごし僕らは火が沈み始めると家へと帰り僕はご飯を食べ終えると自分の部屋に戻り僕は自分の部屋の机に置いてあるパソコンを起動させながら今日の出来事を日記に書き込み僕は書き込みながら、今日は一日何も手掛かりなかったなと思いながら僕は日記を書き終えるとベッドに寝転ぶと睡魔に襲われ僕は就寝した。
それから僕は毎日最後の手がかりを探るべく、夢でみた元の世界で体験した思い出という名の夢を見ながら、僕は毎日出かけるが、結局手がかりを見つけることなく、あっという間に僕のタイムリミットの最終日まで来てしまった。
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