第七章 現実の世界
僕が目を覚ますとそこはどこか懐かしいような景色と病院の病室だった。
体を起こすととても激痛が走り、体を起こすことをやめ声を出すと一人の女性が駆け寄って来た。僕はもしかしたら看護師さんなのかなと思い目を向けるとナース服を着ていなかったので僕は一体誰なんだろうと思っていると
「翔、やっと、やっと目が覚めたのね」
そう言って駆け寄って来た女性は涙を流しながら僕に声をかける。
僕はこの人は誰だったかなと一生懸命に思い出すと「蒼」だった。
僕は声をだし
「あ、お、い、あお、い」
とぎこちない感じで話すと彼女は
「そうだ翔、私碧だよ」
僕の記憶は正しかったみたいで蒼だった。僕はこれが宇美の言っていた元の世界なのかと思いながら蒼の顔を見ると、どことなく真白の顔に似ている。僕は一人今まで居た世界の事を思い出そうとするも全く思い出せず、あれっ、と思いながらぼーっとしていると病院の先生が病室へと走ってやって来て僕に
「おはよう橋倉さん、今平成何年の何月か分かる?」
僕は平成二十五年三月二十日に決まってるじゃないですかと答えた。
すると病院の先生は僕に
「そうですかと言って、今から言う言葉を落ち着いて訊いてくさい、今は平成三十年七月十四日なんですよ」
と言った。僕は五年間も寝ていたのかと思いながら
「そうだったんですね」
と答えた。すると病院の先生は不思議そうにして
「驚かないんですか⁉」
と言う。
僕は驚くも何も、ないじゃありませんかと言って僕はそれからしばらく検査入院と言うことで二週間ほど目覚めてから病院で過ごし、毎日蒼も僕の所へとお見舞いに来た。
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そして時が経ち退院の日、僕は先生にある一言を言われた。
よくそれにしても目覚めましたね、頭に鉄骨が当たってきっともうずっと寝たきりの常態化と思いましたよと先生は言った。僕は先生にある人から元の世界に戻れと言われたんですと、うっすらと覚えているあの眠っているときに起こった話しをすると病院の先生曰くその少女を頼んだのは僕のお母さんなのではと言われた。
僕の母親は僕が眠ってから僕が目覚める一週間前に持病の心臓の病気で亡くなった。
そのことを知らされたのは僕が目覚めてから一週間後だった。
僕はその時に最後まで母親を心配させて悪かったなと思いながら退院したら最初にお墓参りに行こうと決めていたので、病院の先生の話が終わると
「今から母の眠っているお墓にお参りして帰ります」
と言った。
すると病院の先生はそれは言い考えだねと言って、また二ヶ月後に定期検査をしに来てくれと言われ僕は病院を後にした。
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