最高の本格SFはきっと直感で理解できないもの

SFが好きな人なら、ぜひ最後まで読んで欲しい!
ファントミームという非直感的なアイデア。
登場人物たちのあまりにかけ離れた「意識」の価値観。
隅々まで気の配られた未来描写。
心理と風景とが重厚に混ざり合う文体。
私たちが想像もしたことのない時代へ思いを馳せさせてくれる作品です。

哲学的な主題が散りばめられた前半とは打って変わり、後半の怒涛の伏線回収を通して、物語のテーマは過去へと向かっていきます。
作品全体の構成が浮かび上がり、主人公の描写の秘密を知り、難解な設定の意味に気づいた時の感動を味わって欲しい。そしてセリフの対比構造ひとつとっても美しすぎるエンディングに酔いしれて欲しい!