第10話 由里とキンジが遭遇する
ヴィトーと
「俺の方が強いだろう!
このくそジジイ、息の根、止めてやろうか。
「
自分と
「親分、ヴィトーさん、お客です。」
有名な猫のキンジを知っているのか、
「ヴィトーも
「このガキが、ケンカを売ってきただけだ。」
「・・・」
呆れた目で俺らを見るキンジだった。
その時、急に
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「
「・・・私・・・私・・・また精神科が必要になったかも。」
「
俺は、小刻みに震える
「今、別の猫が二匹来たでしょ。」
「ああ、
「その内の一匹から、声が・・・声が聞こえるのよ。ねえ、これって幻聴でしょ!」
「猫から声・・・」
猫達の方を見ると、キンジじゃない方の猫は妻の声で逃げ出した様で、残っている三匹は、その場に動かず、こちらを見ていた。
妻は、事件後、しばらくは精神科へ通っていた。最近は、ようやく立ち直ってきたのに。
妻の顔に優しく触れる。
「
「・・・うん。」
「それで、何て言ってたんだ?」
「・・・【ヴィトー】【
キンジが、
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「おい、キンジ。」
「いや・・・ヴィトー。確かめさせてくれ、頼む。」
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俺は、そんな狼狽えている
「あなた、どうしよ、また声が聞こえるの。」
端から見て分かった。キンジが鳴くと
「【ヴィトー】【確かめる】って、何なの?」
「ニャー。」
「え!」
「
「ねぇ。私、おかしくなった。・・・でもね・・・信じられない事、言っていい?」
正直、聞きたくはなかったが。
「どうした?」
「その猫が【俺の声】【聞こえるか?】って。」
俺の目には、キンジという猫が恐ろしい生物に映った。
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