第4話 カルメラの遺体
用務員が来て、住処を片付け始めた。何を言っているかは分からなかったので、キンジを見た。
「住処を片付けるって言ってるな。」
「そうか。」
俺は起き上がり、邪魔にならない場所へ移動した。
その後も、用務員が何かしゃべっていて、キンジが聞いていた。
「ヴィトー、この人間の住処に、カルメラを埋めたらしいぞ!」
「そうか。」
「こいつの家の場所は分かるか?」
「いや。近くだとは思うが。」
「なるほど。こいつが帰る時、つけるか。」
「分かった。キンジ、それまでに、手がかりを探してくれ。」
「おう。」
キンジは、また手がかりを探し始めた。
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夕方、用務員は、畳んだ段ボールを脇に抱え、校門を出た。さすがにこの段ボールは学校に捨てられないからな。自分が校門から出ようとすると、後ろから猫が二匹ついてきた。
こいつら、まだいたのか。
家に向かって歩いていると、まだ、二匹はついてくる。
カルメラを家に埋めた事を伝えたから、ついて来ているのか?
やっぱり、俺の言った事が分かっているのかも知れない。
十分ほど歩くと自宅についた。ただ、家に入る前にやらなければならない事がある。猫嫌いの妻が家にいるか、確認する事だ。
こいつらには、言葉が通じている前提で話す事にした。
「ちょっと、ここで待ってろよ。女房が猫嫌いだからな。居るか確認してくる。」
キンジが「ニャー」と鳴いた。
これは・・・キンジだけに通じている?
頭のいい猫だと思っていたが、そこまですごいのか。
女房がいなかったので、一安心だ。すぐに二匹を呼び寄せた。
何か・・・女房の留守中に浮気相手を家に連れてくるみたいな、緊張感があるな。
庭の方に回り、カルメラを埋めた場所を二匹に教えた。少し大きめな石が置いてあるだけの質素な墓だ。
二匹は、墓の下を手で掘り始めた。
「え、遺体を掘り出せって事か。」
キンジが「ニャー」と鳴いた。気は進まないが、シャベルを持ってきて、掘り返す。
バスタオルに包まったカルメラを土から掘り出し、小屋の中へ置いた。
「お前ら、小屋の中に居ろよ。」
キンジが鳴くと、カルメラのそばに行き、ヴィトーは少し離れた位置に居た。
キンジは、何をするつもりなのか。
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用務員が、カルメラを土から掘り出し、小屋に置いた。
「この小屋の中に居ろってさ。」
「分かった。」
「お前は離れた方がいい。俺が調べる。」
キンジに任せて、俺は少し離れた。
隣には用務員が「何をするんだ」という様な、不思議そうな顔をして立っていた。
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