第2話 仲間の猫、キンジへ相談をする
俺は、そこらに居る猫を手当たり次第、攻撃した。どうやって探せば良いかも分からず、八つ当たりだ。
あいつに頼るか。
俺は、キンジが飼われている家に向かった。
キンジは、老いた猫だ。生きた年数が長い分だけ、知恵を蓄え、頭がいい。人間の言葉もほとんど理解できるという。中学校近くの住宅街で飼われており、何かあった時、相談にのってもらってる。
キンジは、年をとってから、あまり家から出ない為、勝手口へ周り、窓を叩いた。しばらく待っていると、キンジが出入りする小さな小窓から、出てきた。
「ヴィトー、どうした。何か、あったか?」
キンジは、外に出ない為、カルメラが死んだ噂は、聞いていなかった様だ。
「キンジ。すまんが、また知恵を借りたい。」
キンジにカルメラが死んだ事を説明した。その話しをしていると、キンジからは色々と質問が返ってきた。
「どういう体勢で死んでいたか」「傷はどういう感じだったか」「死んでいた場所は」等々。
正直、キンジから質問されても、頭が真っ白でほとんどの事は覚えていなかった。答えられた事は少ない。
「ヴィトー、お前は怒るかもしれんが、提案するぞ。いいか?」
「なんだ?」
「カルメラの遺体が見たい。案内してくれ。」
俺は、キンジを押し倒し、手で首を抑えつけた。
「キンジ、カルメラをどうするつもりだ。殺すぞ。」
「うぐぅ・・・今のままだと、状態が全く分からん。・・・ぐぅ・・・手がかりをつかむ為だ。」
「それで、分かるのか。」
「ああ・・・」
キンジの首から手を離す。
「キンジ・・・すまんかった。」
「お前は、カルメラが死んで、頭に血が上ってる。仕方ない事だ。」
「いや、ここ一帯を仕切るボスとして、恥ずかしい行いだった。すまん。」
落ち着け。こんな時ほど、冷静になる必要がある。
冷静に復讐を果たす。
これは、以前、中学校周辺を仕切っていたボス猫に、父・母が殺されたあの日、誓った事だ。ちなみに、そのボス猫は、その後、群れから追放され、ボスの座を追われていたが、強さは健在であり、幅を利かせていた。
まぁ、俺が殺して復讐を果たしたが。
そのボス猫殺しがキッカケとなり、俺は、仕切るまでの地位に上り詰めた。
俺が殺したボス猫を、群れから追放させる策を考えてくれたのが、キンジだった。その時からの仲間であり、そんな恩のある男に俺は・・・
「おい、ヴィトー」
「ああ」
「どうする、決めたか?」
「ああ、カルメラを埋葬したのが、中学校に居る用務員だ。」
「そうか、その人間が知っているのか。じゃあ、会いに行くか。」
「キンジ、家から出て大丈夫か?」
「大丈夫だ。まぁ、暗くなる前には戻れるだろう。」
俺とキンジは、用務員に会う為、中学校へ向かった。
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