第12話 事件を整理する

由里ゆりはキンジに通訳してもらいながら、信雄のぶお文太ぶんたも交えて話しをしている。


今、キンジと話しをしているが、まだ、卓也たくやが戻るまでは妄想という可能性は残っているが、私は信じている。だって、猫と話せるなんて、猫好きにとって夢の様な話しだから。


事件について、キンジ達と話しをした。

どうやら、信雄のぶお文太ぶんたの子分達が色んな所に散らばり、痕跡を探しているとの事だが、どう考えても漠然と探している。それを聞いたキンジが、助言をする為、信雄のぶお達を探し、ここに来た様だ。


カルメラが別の場所で殺害された。キンジの話しを聞く限りでは、可能性が高いと思う。

なら、どこで誘拐され、どこで殺害されたのか?


誘拐された場所は、カルメラの行動範囲内になるだろう。それに、カルメラは妊娠していたので、行動範囲も狭まるんじゃないか?キンジも同意見だった。そうなると、中学校近くで猫が通る場所が、誘拐された現場になる。殺害された場所に関しては、誘拐した所で殺害という可能性もある。まずは、誘拐された場所を特定する必要がある様だ。

それと捕獲だが、猫がそんな簡単に捕まえられるのか?その犯人とカルメラによっぽどの信頼関係がなければ、素手では捕まえられないだろう。そうなると、道具を使う?でも、そんな目立つ事をするのか。

また、首についた索条痕さくじょうこんはどういう事だろう。捕まえてから、首を絞めて殺害したのか?


昔やっていた警察官の時を思い出して、何か、懐かしさが心にしみた。もう・・・戻れないのにね。


キンジ達と捜索場所について、話し合っていると、うちの方へ、人間が走ってくる気配があった。多分、卓也たくやだろう。

由里ゆり!」

やっぱり、卓也たくやだった。急いで戻ってきたのか、息を切らしていた。

卓也たくや、大丈夫?」

「はぁ、はぁ、由里ゆり!用務員さんに話す事が出来た。」

「それで、どうだった。」

「ああ、由里ゆりの言っていた事、全部、本当の事だった!」

私にキンジの声が聞こえているのは、間違いない様だ。今まで、話しをしていた事を、卓也たくやにも話した。卓也たくやは、胎児が攫われた事について、「どう頭がおかしくなったら、胎児を取り出すなんて・・・なんで、そんな事を考えられるんだ!」と憤っていた。それは、私も同意見だし、そんな人間には法の裁きを下したかった。

卓也たくやも含め、カルメラが誘拐された場所について、改めて話し合った。

話しを聞いた卓也たくやだが、思い当たる場所があるらしい。中学校の近くにある「屋代川」という川がある。川沿いは、子供達が降りれない様、柵がしてあり、草が生い茂っている。その川沿いで、最近、猫を見る様になったとの事だった。キンジに聞いたが、川沿いに猫なんていたか?と不思議がっていた。だが、信雄のぶおは知っていた。

どうやら、最近、人間に捨てられた猫のグループ達が、川沿いを縄張りにしているらしい。何故、信雄のぶおがその事を知っていたか?カルメラが、その捨て猫グループに、以前所属していたからだった。その川沿いだったら、身籠ったカルメラでも、行動範囲だと思われた。そこで、カルメラは捕獲されたのではないか?それなら、どうやって捕獲したか?

私は、自分の中で思いついた方法を皆に話した。


「罠って、ことはない?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る