戦場返歌

越後連合の大軍、五万の勇士たちが、織田家の防衛線である真田の砦に猛攻を仕掛ける。それに対峙する真田軍はわずか三千。通常ならば明らかに不利な情勢であるが、名将・真田昌幸の見事な指揮と、頼もしく成長した幸村の力が、砦を守り抜くための閃光となる。


昌幸は砦内に馬出しを設け、これはかつて彼が武田家の下で学んだ戦術であった。そして、その馬出しに幸村が新たな発想を加える。それこそ鉄砲の戦術であった。彼らはこの新たな組み合わせを「鉄砲駿馬塁(てっぽうしゅんめるい)」と名付けた。


鉄砲駿馬塁という戦術は、広大な前方スペースを必要とする。そのスペースを鉄砲で確保し、敵を混乱させ、その隙に騎馬突撃を仕掛けるという独特の戦法である。


また、この戦の舞台には思いがけない人物が現れる。それが前田慶次郎である。


慶次郎は言う。「この劣勢、微力ながらお力添え致す!」


前田慶次郎の部隊は真田軍とは独立して行動し、遊撃戦を展開する。その破壊力は圧倒的であり、見るものを唖然とさせる。


その結果、越後連合の大軍は前田慶次郎の存在とその声に警戒し、真田の砦には躍起となって接近せぬ。すると慶次郎は砦の上から詩歌を高らかに詠じた。


「上杉や、本の名は下杉(しもすぎ)か

枝葉はあれど、太き節はなし。」

(上杉よ、お前たちの本当の名前は下杉ではないだろうか。枝葉は多くあるが、肝っ玉の太い武士(節)はいないようだな)


上杉軍から一人の将が姿を現す。その兜には「愛」の文字が彫られ、壮麗な武士の風格が漂っていた。彼こそが直江兼続である。


直江兼続は静かに言う。「我が名は直江兼続。貴公に返歌を捧げたく参った。」


「蕪(かぶ)の木の高きことこそおもしろき

無明なること株ぞ下げにけり」

(貴殿は天下の傾奇者と聞くが、株が木になるようなことを言っているようで、笑止千万である。局所的には真田は少数だが、大局で見れば、そうではないだろう。貴殿の目は視野が狭く、曇った無明の状態であり、それは貴殿の傾奇者としての株を下げることになると言うものだ)


これが直江兼続と前田慶次郎の初めての出会いであった。


慶次郎はただの風変わりな人物ではなく、真に力を必要としている者を見つけ、自身の名声を上げるために少数の勢力に参加していた。彼は自身の評価を高めるため、ある種のブランディングやマーケティングのような方法を取っていたのかもしれない。しかし、その全てが直江兼続に見透かされてしまったようだった。


慶次郎は笑う。「直江兼続、面白い男だ。覚えておこう。」


「鉄砲駿馬塁」は、真田幸村が開発した鉄砲と馬を統合した攻城兵器システムの名称である。その特徴は、鋭い射撃と高速な突撃を可能とする鉄砲と馬の組み合わせにある。特に、その独特の形状である北条型角馬出しは、四方を鋭角な形状にすることで敵の攻撃をより一層防ぎ、瞬時に馬を砦外に送り出すことを可能とする(武田の馬出しは円形であるが、仮想空間Xの幸村が採用したのは北条型であった。それは鉄砲との融合にあったのである)。


真田幸村の新しい戦法「鉄砲駿馬塁」は、その特異な名前と独特な形状で注目を集めることでしょう。その破壊力と機動性により、真田軍の戦闘力は大幅に増強し、敵軍にとっては恐ろしい脅威となることでしょう。


- 夢想瑞歌 -

城門に 詠い合いの 慶事あり

合いを愛と言うは 浮世の縁なり 


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