甘美な詩と共に紡ぐ日常の喜び


「だって甘いものが好きだから 」は、甘いものに対する深い愛情と詩的な表現力が光る作品集です。各話が短歌という形式で凝縮されたエッセンスを持ち、読み手を甘い世界へと誘います。特定の和菓子や洋菓子にまつわるエピソードや、その背景や文化、味わいに触れながら、日常の中に潜む甘美な秘密や恋心、日常の中に隠れた小さな喜びや、深い感情を再発見する楽しさが詰まっています。甘いもの好きにはもちろん、日常の中にある小さな幸福を見つけたい人にもおすすめの一冊です。

ちなみに私のお気に入りは、一雫ずつ垂らして回し続ける手間と時間のかかる「こんぺいとう」が、愛の結晶のようだと謳われている短歌です。祖父の親友が営む町工場での思い出も交えながら、こんぺいとうに込められた愛情と時間の大切さが伝わってきました。

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