もう一度やり直せるのなら、君と……

 タイムリープならではの王道ストーリーです。ミアの婚約者ウィリアムは氷麗の騎士の異名を持ちますが、その関係性はどこか冷ややか。ミアが呪いで目を覚まさなくなってしまう三年後の未来から彼はタイムリープし、これまでの後悔を悔い改めます。ミアへの愛情を心に秘め、守ることを誓うのですが、言葉でなければその想いは思うように伝わらないのです。そのもどかしさ、すれ違い、歯痒さ。引き合うように離していく心の機微が美しい筆致に重ねられ、筆者様の織り成す世界へと言の葉たちが心地よい引力であなたをいざないます。
 絹のようななめらかさと、しなるような躍動美あふれる文体でとても読みやすく、情景が目の前に像として結ばれる感覚にうっとりします。洗練された文章に心が踊る、そんな楽しさをぜひ、あなたの目で堪能してみてください。

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