【第四夜】呼吸

息吹


「鬼滅の刃」がヒットして、剣道人気が高まったらしい。うらやましい限りだ。

空手も何か漫画のヒットで人気が出ないかなぁ…。



そんなわけで、多くの少年剣士を生み出した「鬼滅の刃」だけど、本当によくできてるなぁと驚嘆させられる。



鬼殺隊の剣士たちは「呼吸」を使う。

もしかすると、武道経験のない人たちは「なぜ呼吸?」と思われるかもしれないが、実は呼吸は武道の上では非常に大きな意味を持つ。



分かりやすいところでいえば。何か大きなものを両手で押して移動させると考えてほしい。このとき、力一杯押すと、息は吐いているか、止めているかのどちらかだと思う。息を吸いながら大きな力を出せる人はいない。



つまり、息を吸うことでその間は無力になってしまうけど、吸った息を吐くときに大きな力を出すことができる。呼吸というのは「呼」と「吸」、陰と陽、表裏一体の関係なのだ。



剣道は素人なので分からないが、あの寄声のような独特の気合は、何か剣の合気のための呼吸法鍛錬の一部なんじゃないかと思ってる。



剣道はわからないけれども、かずさんに聞けば数時間は捕まりそうな気もする。何気にあの人、オカルトマニアな面もあるけど、武道オタクでもあるからなぁ…。



空手の呼吸には、主に3つある。たぶん流派で違ったりはあると思うけども、一つは深呼吸。誰でもできるね。それから逃れの呼吸というものがあり、表と裏の2つがある。そして、最後の空手独特の呼吸法が息吹いぶきだ。型に中にも出てくるほど、空手の中で重要なもの。



はたから見てると、単に息を深く吸い込んで、一気に音をたてながらはきだしている、くらいのものだろう。でもこれは丹田という霊的器官が関わってくるので、詳細は割愛する。




息吹の効果としては、「乱れた息を整える」というものがある。正確には無理やり整えるので、乱れた息は整ってもやや苦しい。


乱れた息を整えるという過程は、心を冷静に保つ、という意味もある。たしかダイビングなんかは初心者だと呼吸が早くなってしまう聞いたことがある。焦ると呼吸はどうしても早くなってしまい、乱れるが、それを整える。




この息吹、空手やその試合でも役に立つのだけども、もう一つ身を救ってくれる場面がある。それが金縛りだ。




みなさんも自身の経験のなかで1~2回は金縛りの経験がないだろうか?

夜中に幽霊が出現するときの定番現象であり、また脳の生理現象としても定番だ。

でもどちらにせよ、気持ちいいものじゃない。だいたいは丑三つ時みたいな時間に起きるものだし、手足動かせず、目線すらままならない。だいたい、それが脳の生理現なのか心霊現象の類なのかは誰にもわかりようがない。だからこそ、気持ち悪い。


手足も動かせないし、首も動かせないけど何とか呼吸だけはかろうじてできる。

そんなとき、息吹で呼吸を整えると体が自由になることがわかった。



どこからどこまでも異常な状態になって目覚める金縛り。息吹が出来れば怖くない。


って思ったけど、万が一、枕元に立ってて見降ろされでもしてたらそれどころじゃないかもしれないね。いや、でも逃げ出すために金縛りを解かないとだから、やっぱり息吹って大事だなって思う。身体的に精神的にも万能感が半端ない。


金縛りは息吹で解ける  これはガチ。

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オウマガト記 さるさ @shink

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