私は本作をスマホで読んで、怒りに打ち震えている。免許更新を忘れて失効したこと、大型二輪から普通免許(MT)まで満遍なく藻屑と化したことに怒っているわけではない。この作品が面白過ぎるのだ。
ファンタジー世界へと転生を願う主人公に、ことごとく望まないジャンルのフラグが襲いかかる。
しかし、彼は拒絶する。電話をぶつ切り、進んで下着ドロボウの犯人になる。断固、ファンタジー以外の世界を拒否するのだ。
またヘミングウェイの老人と海を彷彿とさせるような、徹底した外的描写も逃せない。読み手のカメラが、いきいきと文章と構成に現れている。
最後に、筆者のその圧倒的な表現力は、擬声語一つをとってみてもよくわかる。けたたましくつっこむダンプカーの音に、表現者としての魂が注がれているといえよう。
プオーン。
私は吹いた