展望のない世界の一コマ

1人の人間の1つの別れの話でありつつ、背後にある重厚で複雑なSFの世界観がしっかりと伝わる文章が素敵です。説明が少なく、先の見えない情景とそれに対する人類、あるいは主人公の感情が読者をなんとも言えない気持ちにさせます。
そしてタイトルとキャッチコピーがとてもしっくり来ます。地球という生命の母の死、過去に経験した人の死に生きること、あるいは化石燃料という死骸、土......
とても読みやすいですが、きっと何度か読み返すことでまた新しい気づきがある、そんな作品です。