一体どこへ連れていかれるのか？その行きつくところは

　最初は、さまざまな視点で世界の終末に立ち会う人々の短編集かな、と思ったのですが、どうやら幾人かは人物が重なっているようでもあり、続きがどうなるかと思った途端に、別の舞台と人物が次々と現れる。確かに「白昼夢」と銘打っているだけあって論理で展開していく物語ではないにせよ、「何だこれは？」と思うことの連続でした。
　それでも、最後まで読んでしまったのは、各章が、続きが気になる終わり方をしていて、その先に予想もしないことが次々と展開するのが、何だか面白くなったからのように思います。
　「何かこの物語には言外にこめた深いメッセージがある」と思わせるものがありました。私には、それが上手く言語化できないのですが、或いは「そう感じさせる」のが、この作者の技量なのかもしれません。リスペクトの意味をこめて、私にはとても書けない作品だと思いました。
　あと、個人的には「どこに連れていかれるか分からない」と投げ出していた大江健三郎氏の「同時代ゲーム」を、改めて読み直してみようと思ったのも収穫だったように思います。