こんぺいとうと星の夜
笹原 篝火
こんぺいとうと星の夜
秋深まる夜、とある地方のある村で収穫祭が行われていた。
村の中心の広場で大きな薪、篝火に包まれた中で、今年たくさん食材を取れたことを祝したくさんの料理と果実酒が振る舞われている。
村人たちも楽しげに談笑し、老いた者は歌を歌い、若者は男女ともに寄り添い、果実酒を飲んで楽し気に会話を弾ませていた。
その談笑になじめずにいた一人の青年がいた。主に果樹園の世話をしているロワである。
自分が育てた果実酒を楽しみながら一人ちびちびと楽しんでいた。
村のみんながわいわいとしているのを見渡していただけでも楽しかった。皆が幸せなだけでも彼は満足だった。
酒をくいっと煽りながら、ふととなりの篝火の脇を見ると、黒髪の女性が一人少し寂しそうに薪を眺めている。
村で振る舞われている料理やお酒には一切手をつけず、小瓶からなにかの粒をとって、口にほおりこみ舌で転がしているみたいだった。
村では見ない美しい黒髪についつい見とれてしまう。それよりも気になることがあった。彼女は本当に寂しげで炎を眺めている。皆が幸せいるのが楽しみなだけに気になってしかたがなかった。
ロワはそっと寄り添い、彼女に声をかけた。
「こんにちは。旅の方ですか?村では見かけない方だったので」
「・・あ、はい。すみません・・かってにお祭りに参加してしまい・・」
「いや!いいんですよ!みんなのお祭りなんで!たのしんでいただければ!」
「はい。ありがとうございます」
「僕はロワといいます。この果実酒、僕の畑で取れた物なんですよ。よかったらどうですか?」
「ありがとうございます。しかし、私はお酒は飲めないんです。申し訳ございません」
「いや!無理とはいってないので!楽しんでいただければと思います!そういや、さっきお口にいれてたのはなんですか?この辺じゃ見ないものですよね!」
「はい、これはこんぺいとうっていう砂糖の塊です。私はこれ一粒で8時間は動けます」
(・・?かわった人だなー)
ちょっとかわった人かなと思ったロワではあったが、祭に楽しんで貰えるよう色々とお話を振ってあげた。
しかし、彼女の笑みはなかなかみられなかった。
「そういえば、私のお名前教えてませんでしたね。私はヨルといいます」
「ヨルさんですか!よろしく。この綺麗な夜の星空みたいに綺麗なお名前ですね!」
「よく昔言われました」
初めて少し笑みを見せたような気がする。
「その笑顔、素敵ですよね」
「私・・笑いましたか?」
「素敵でしたよ?」
「・・そんなプログラムはなかったはず・・もしや・・あの時・・」
「え、どうしたんですか?なにか訳ありでしょうか・・」
ヨルは少し身をすくめると、考え事をしだした。そして、顔を上げると恥ずかしげにロワの手を取る。
「・・え」
「あなたでしたらお話をしてもいいかもしれません・・」
「・・すこし外れでお話しませんか?」
「えぇ・・ かまいませんよ!ヨルさんの悩みが少しでも晴れるなら力になります!」
「では・・」
ヨルはロワの手をとると、森の方に手を引いた。
回りにひとけがないのを確認すると、ヨルは深呼吸すると、ロワの目をしっかりと見つめ今までの話しをし始めた。
「実は私、オートマータなのです」
「え?」
「ようは人形です。人につくられた「人形」なのです」
「今は存在しない数百年前の過去の大きな国で私は兵器として造られました。戦争で兵士の代わりに投入されたくさんの人を殺しました」
「人を殺すようにプログラムされていた私ですが、とある拍子にバグが発生し、自我が芽生えました。人間の血で真っ赤に染まった手を見て・・初めて赤子を見て・・自身に対しての恐ろしさを感じ、軍から逃げてきたのです」
オートマータ・・人形という彼女の発言をきいてロワは唖然とした。たしかに彼女はまばたきをしていない。
かつ、すこし人間味を感じさせない言葉使いだと思った。
「そして、何百年も当てもなく歩いていたとき、女神アルテマの話しを聞いたのです」
「はい、聞いたことがあります。この世の罪を許し命を生み出す女神様ですよね」
「私はその存在を求めさらに世界をさまよい続けました」
「そしてアルテマとあったのです」
ロワ神自体を見たこともないので突拍子もない話しだと思ったが、人形・・道具であった彼女が嘘をついているとは思えなかった。
「私は今まで人間を殺めてきたことを謝罪し、断罪してもらうようお願いしました。私自身で自分の機能を止めるプログラムはされていないのです」
「アルテマは私に罰を与えてくれました」
「・・・罰・・をですか・・しかし、ヨルさんは健在ですし、なにもされてないのでは?」
「はい、アルテマは私に機能が停止するまで償いを続けろと命じました。同時に、人間にある恋と愛をプログラムしました。そして、私の体に人間と同じように子供を授かることができるように体を一部造り替えたのです」
『お前は、永遠を生きなさい。人を殺めてきた分、人を愛し、子を造り、時間によって、愛する者を奪われる。この時間の繰り返しを永遠に味わい苦ぬのがあなたのつ罪滅ぼしなのです』
「これが答えでした」
「はぁ・・」
ロワはなんといっていいのか分からなかった。しかし、先ほど見せた笑顔を伏せ、沈み混んでいる。しかし、彼には彼女が幸せじゃないのがゆるせなかったのだ。
「ヨルさん!」
「はい」
「君は悪いことを十分に反省している!そして謝罪をしっかりとしたはずだ!」
「・・・」
「幸せになる権利はあるはずだ!」
「・・・」
「あ、あのさ・・僕はぶどう作りしかのうがないけど、不幸を背負った人を幸せに出来るとはおもっているんだ!」
「・・はい・・」
「よかったら、君の長い旅の合間に寄り添わせてもらえないかな・・!」
ヨルの顔にかすかな笑みが浮かぶ。
「・・それは、プロポーズですか?」
「んー!まぁ、そうかな!」
「・・はい・・初めて私を呼びとめてもらってびっくりしてます。それと、なんともいえない気持ちがこみ上げてきてます・・これが・・恋なんでしょうか・・」
「君に芽生えた恋心だとうれしいよ。・・よかったら一緒に・・」
ロワに手を差し伸べられ、恥ずかしげにヨルは手をとった。
「はい・・よろしくお願いします・・」
***
季節もかわりはじめ、風が変わってくる。
夜も過ごしやすくなり、心地よい朝を迎えた。
連日のブドウ畑の管理に追われ、さすがにロワは疲れがでてきたのか、なかなかベッドから出られないでいた。
「おはようございます。ロワ」
「!」
耳元で囁かれ跳ね起きるロワ。勢いよく跳ね起きたため、何かに頭をゴチン!っとぶつける。
「!!いってー!・・って・・あれ?ヨル?」
「ロワ・・大丈夫ですか?私の頭部に強くぶつけられたようですが?」
「・・はは・・ごめんヨル。・・すごい石頭だね・・ってそっちは大丈夫?」
「はい、センサー等には異常ありません。まぁ、人間のような痛覚はありませんので」
「あ・・そうか・・お人形さんだったね・・」
それよりも自宅に現れたヨルに驚きをかくせなかった。戸締まりもしっかりしたはずだ。
「てか、ヨル・・どうやって・・」
「簡単に解錠できますよ。所詮人間のつくったものですから」
さらりと怖いことをゆうヨルにロワは少し動揺した。
「てっ・・ってか、なにか用あったっけ?」
「なにをおっしゃっているのですか?ぶどう畑の収穫を手伝ってといったのはロワではないですか?」
・・そうだった。管理でいそがしくてすっかり大事な事をわすれていたのだ。
今が最良の収穫時期。この時期を逃すと甘いぶどうがとれない。
今年は天候がよく大量に実った。しかし、基本一人で収穫を行っていたのだが、人手が足りない。
しかし、去年の収穫祭で出会った彼女に手伝いを依頼したのをすっかりわすれていた。
「畑の収穫・・だけではありませんね。これは初めての『デート』ですから」
「はは、仕事を『デート』に使うとか・・どんな鬼畜だよ」
「あなたの命令ですよ」
「め、命令なんてしてないぞ!」
ヨルはささやかな笑みをうかべる。
あの収穫祭にプロポーズし、彼女は快く自分のプロポーズを受け入れ、今はお付き合いをしている。
しかし彼女はなかなか心をゆるしてくれない。人間に対しての不信感があるのだろうか・・。
(しかし、どこに住んでいるんだろうなぁ・・お金も持っているようには見えないし・・)
相変わらず同じような身なり。黒いローブみたいな服だ。彼女からはすこしカビ臭い臭いがする。廃屋か洞窟あたりに住んでいるんだろうか・・。
「そ、そうだ!」
「?」
自分は部屋のテーブルにある袋を手に取る。それをヨルに手渡した。
「よかったら着てくれないかと思って、買ってきたんだ。見てみて」
ヨルは袋を開けるとばっと広げるように取り出した。
「・・これは・・」
地味さはあるが鮮やかな色の女性向けの作業用のドレス。それを見たヨルは目を輝かせている。
「これを・・いただけるのですか?」
「あぁ、もちろん!作業を手伝ってもらうわけだし、仕事するにはそのなりではいろいろと不便だろうとおもってね」
「ね、さっそく着てみてよ。とても似合うとおもうよ?」
「はい、では早速」
「となりの部屋空いているからさ!そっち・・」
と、言いかけた瞬間、彼女は黒いローブをばっと目の前で脱いだ。
「!?」
ローブの下は全裸だった。下着すらつけていない。突然のことに自分は目のやり場にこまってしまった。
「な、なんでそこで脱ぎ出すんだよ!」
「なぜって、ロワが着てみろとおっしゃったではないですか」
「だからってここで・・」
「なにかおかしいことしました?」
「裸!裸!・・てか、なにもつけてないの?」
「あまり余計なものを身に付けますと動作に支障がでますので」
「と、とにかく、はやくはやくその衣裳着てみて!」
自分の反応をなにか不思議な物を見るかの表情で首をかしげるとヨルは後ろを向いてドレスを着始める。
***
「いかがでしょう?」
ヨルがひらりと体をよじらせる。
「すごい! すごい似合っているよ!!」
黒髪で色白ですこし地味な感じがあった彼女であったが、色鮮やかな作業用ドレスは彼女に色を添えた。
一度プロポーズをした身ではあったが、あまりの美しさに再び惚れなおしてしまうようだ。
自分がうっとりと見とれていると、ヨルが急に手を取る。
「う・・うわ!」
「うわ!ではないです。さっそくお仕事ですよ。はやく畑に行きましょう」
「あ・・あぁ・・そうだね・・自分も着替えて始めるとするよ・・それより、朝食とったかい?」
「私はこんぺいとう一個で十分ですので・・」
「はは・・そういやそうだったね」
「はやく食事とやらを済ませてくださいね。私は外で待機してます」
「うん、いそいで朝食をとるよ・・」
ヨルはひらりと後ろを向くとまるで兵隊かのような動きで部屋の外へでていく。自分の横を通り過ぎる彼女の横顔も本当に綺麗だった。
(あぁ・・本当に綺麗な子だ・・勇気だしてプロポーズしてよかったなぁ・・でも彼女の気持ちはなんかつかみきれたないみたいだけど・・なにがひっかかるんだろう・・)
「ロワ!なにぼーっとしているのですか?」
「あ! すぐいく!まってて!」
自分は急いで着替えると流し込むように朝食をとった。
***
本当に彼女は仕事・・多分彼女的には任務なのだろう・・とても熱心に働いた。 自分が汗を流してぶどうの出来を見ながら収穫していると、彼女はまるで決まった作業かのようにてきぱきと収穫する。
品質の見立ても完璧で質のいいぶどうをしっかりと選別してとっている。人形・・がなせる人間離れしたところなのかもしれない。
・・そして夕暮れを迎える。
「ふぅ・・一通りおわったね!お疲れ様、ヨル」
「お疲れ様です」
ヨルが涼しい顔でぶどうを入れたかごを荷車にてきぱきと積み込んでいる。そこに自分は寄り添い手を止めさせる。
「ねぇ、ヨル。俺が手塩にかけてそだてたぶどうなんだ。食べてみてくれないかな」
と、かごの中から一房をとり、ヨルに手渡す。
「ぶどう・・ですか・・摂取したことはないですが・・」
「無理・・かな・・?」
「大丈夫だと思います。では」
ヨルは一粒をちぎりとると、そのまま口にいれた。なぜかその仕草がとても色っぽく感じる。やはり自分は惚れているんだなと改めて実感する。
・・すると、彼女はほろほろと涙を流し始める。
「・・え?何で泣くの?」
はっと、ヨルは手を止める。
「泣いている・・これもプログラムにも、機構にもない・・いったい女神は私の体にどれだけの機能を・・」
「・・で・・おいしかった?」
ぼーっとした顔で手を止めていたヨルだったが、涙目で自分に顔を向けると、
「ロワの心の味がします・・」
そう、笑顔でそう自分につたえた。
***
── そう 人と「物」との隔たりはない
秋の収穫祭の後、微妙な距離感で愛を育んでいたロワとヨルは村で挙式を上げた。たくさんの収穫物がおなじ村人から振る舞われ、夜から次の日の夜遅くまでみんな美味しい食事に、そして果実酒に明け暮れる。この村は結婚というとまた新たな恵みを生み出す・・・命を生み出す・・神事そのものなのだ。これほどめでたいことはない。なので村の者みんなで二人に感謝し、そして縁を結んでくれた神に祈るのだ。
──しかし、二人は人と「物」
ロワは村人には秘密にしていた事があった、結婚した相手のヨルは、オートマータ・・人形であること・・間ではない。人にとっては魔物と取れるだろうし・・人と人形では子供は生まれるはずがない。・・村人は子宝を望んでいる・・。
二人の子供を望んでるのだ。皆が飲んで踊って明け暮れる挙式・・ロワは村人をだましているような気がして素直に喜べない気分だった。
その表情を横目で見るヨル。プログラムで作る笑みではあったが、ロワの煮え切らない様子が気がかりで若干の曇りを見せる。
***
結婚生活をはじめて数ヶ月、二人の生活はうまくかみあっていたなかった。元々口数の少ないヨルもあるかもしれないが、ロワの様子がおかしい。結婚前は積極的にヨルに話しかけていた彼ではあったが結婚後口数が減った。常になにかを悩んでいる・・そんな様子だった。その様子をいつも無表情でヨルは顔を伺うだけの日々が続いた。
そんなある夜、畑仕事を終え遅い夕食を二人で取っていた。ロワは黙々うつむきなかがらパンを食べている。口のなかでこんぺいとうを舌でころころと転がしているヨル。指示を常にまって動いていたヨルだったが、初めて自分から質問を出した。
「なにがそんなに不安なのですか?」
急なヨルからの質問にはっとしたロワ。少し目を泳がせると、パンを皿に置き、深いため息をつく。
「そんなに私と『結婚』したのがロワ、あなたの精神状況に影響をあたえたのでしょうか。では、私と『結婚』しなかったほうがよかったのではないのでしょうか?」
「ちがう!!そんなんじゃない!!!!」
ロワが急に大声を張り上げる。さらに深いため息をついてロワは語りだした。
「・・俺は、お前が好きだ・・これは揺るがないよ・・」
「ではなぜそんなに不安に」
「結婚は村の昔からのしきたりで命を繋げる大事な儀式なんだ・・しかし、ヨル・・お前は人形・・村のみんなはうちらの子供を望んでいる・・でもいっこうに子供が作れる気がしないんだよ・・」
「それは私が人形だから?」
ロワは無言で頷く。それを見たヨルは無言で席を立ちロワに声を張り上げる。
「それはロワ、あなたに生物としての魅力がないからです!」
「え・・」
「はじめてあなたとあったときにいいましたよね。私には呪いで命を育む機能が付与されていると、それはロワも承知しているはずです。相手が生殖に積極的に関与してくれればそれ相当にその機能は動作してくれるはずなのです」
「あの『結婚式』以来、あなたは人間の雄としての魅力が低下している・・」
「・・・」
「あなたは私を人形として今でも見ている。からではないのでしょうか。それは意識のすれ違いです。あなたが私を人形ではなく、繁殖相手として見てくれれば、そうすれば私もあなたを人間の雄として認識ができるのです」
「・・ヨル・・」
「私には命令以外の実行処理は困難です。・・しかし、生体機関が割り込みをさせているようです。このままでは機能の使用は困難だと。私からの処理であなたを雄に変えろと。そう処理しろと・・」
ヨルはそうゆうとテーブルから身を乗り出し、手を広げてロワに身をなげる。
「うわ!ちょっ!ヨル!!」
そのまま椅子ごと倒れる二人。ヨルはロワに乗りかかったまま、キスをする。砂糖まみれの甘い甘いキス。
はじめてのヨルからのキスにロワは心の中が熱くなる。
「・・そうです。その顔です。それが私の生体部品が求めていた人間の雄の顔・・」
「・・ヨルの唇は冷たいけど・・甘いね・・」
「そうですか。ロワの唇を感じる機能はないですが、私のプログラムはとても心地がいいとでていますよ?」
そういうと、ヨルはローブを脱ぎ捨てる。
「あ・・ヨル・・」
「──では始めましょう。『子作り』を──」
***
その数年後、ロワとヨルの中に二人の子供がさずかった。ヨルにそっくりな黒髪の女の子が二人うまれたという。
子供らもすくすくと育ち村の男性らの嫁になっていった。
・・・しかし、時間は残酷である。
数十年と過ぎるとロワは老いていった。女神の言ったとおり時に奪われていくのである。
ロワは歳を取らないヨルが目立つといけないと思い村はずれの家に引越し、そこで余生をすごすようになった。
そして、ロワはすっかり体も弱り寝たきりになってしまった。
ヨルは精一杯看病をする。
・・そして、ロワの最期の時が来た。
「・・ヨル・・」
震えながら手を差し伸べてくるロワ。そっとヨルは手をとった。
「・・はい・・あなた・・」
「・・時間は・・長いようで・・短い・・もんだなぁ・・おまえとの時間も・・あっという間だった・・」
「はい・・」
「・・僕・・は・・君を・・幸せに・・できただろうか・・」
「はい・・あなたとは子供もさずかり、幸せな生活が出来ました・・私の心の罪を・・ぬぐい去ってくれました・・本当に・・あなたに感謝してます・・」
「・・そうかぁ・・よかったぁ・・」
「・・なぁ・・」
「・・はい・・」
「・・こんぺいとう・・あるか・・?」
「はい・・どうぞ・・」
「・・ありがとう・・甘いなぁ・・」
ロワは最期ににっこりと笑みを浮かべ、大きなため息をつくと・・そのまま動かなくなった・・。
ヨルはしっかりと手をとり、目をつぶって心から長年愛してくれたロワに礼をいった。
「・・あなた・・ありがとうございました・・」
***
ヨルはロワを森に丁重に埋葬し華をを添えた。
「ロワ・・本当にありがとう・・さようなら・・」
そう告げると、ヨルはその村を去り再び罪を償う長い長い旅を始めるのである。
── 枯葉と雪が舞散る・・数百年目の冬がまた・・近づいていた・・。
こんぺいとうと星の夜 笹原 篝火 @kagarisasahara
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