すこしまじめなあとがき (それと登場人物の名前のネタ)
最後までお読みいただいてありがとうございます。
この物語は、
パッと読んで、「イジメで自殺した女の子と、巻き込まれた友だちの友情の話」と思った方もいるでしょう。
作中には「いじめといえるような事はなかった」「死にたかったんじゃない」と書かれています。
私はただ、この場所に、この社会に、今の自分がいることに対しての違和感を描きたいと思っていました。
それでも「空に飛ぶ」瞬間に後押ししたものが何なのか、本人にもはっきりしない可能性はあります。
ですから、これは「いじめ自殺」を扱った物語なのかもしれません。だけどちがうかもしれません。それは読んで、受け取った方しだいです。
もう物語は、あなたのものですから。
人はいろいろなことを感じます。
ささいな視線、小さな笑い、ふとそらした顔。言い出せないことば。
悪意でもなく、好意であっても。
人と接していると、のみ込みきれないことがたくさんあります。
他人のことはわからない。
あなたと私は、わかりあえない。
「ひとりでしょ。けっきょくひとりでしょ」
そう言いたくなります。
そう。ひとりです。
私は、他の誰でもない私は、ひとりしかいません。
だから私とは違うあなたと一緒にすごしてみたい。
ぶつかっても歩みより、争っても謝って、隣にいてみたいと思うのです。
ですがそれは、今の私が感じること。
以前には「ここにいたくない」と強く願ったこともありました。違う場所へと逃げたりもしました。
それも、あたりまえのことだと思います。
そうして居場所を探しに踏み出した先が、空だった女の子。
今いる場所にとどまろうとした女の子。
どちらもあることです。
どうするのが正しいとか間違っているとかではなく、起こるかもしれないことを書いただけなのです。
この物語の登場人物たちに、どうしてこうするの? この人の言うことはおかしくない? そう感じる部分もあるでしょう。
その通りだと思います。だけど、同じ感覚を他人に求めないでください。
受けとめ方は人それぞれ。あなたの感じ方は、あなただけのものです。
あなたなりに何かを感じていただけたなら、とてもうれしいです。
* * *
さてさて、ついでのネタ話。
この物語の人物たちの名前について。
みんな、七草に関連した名前ですね。
・
尾花はススキ(秋の七草)、はこべはハコベラ(春の七草)
・
ゴギョウもセリも春の七草
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ナデシコ(秋の七草)はいいとして
ホトケノザ(春の七草)の別名が、小鬼田平子コオニタビラコというのですが……
小鬼・田平子ではなく、コオニタ・ヒラコと分けて小仁田さんと平子先輩になりました
・
ハギ(秋の七草) もしかしたら下の名前は月子かもしれません(仙台銘菓……)
・
フジバカマ(秋の七草) 藤じゃなく藤袴です
・
オオネは
スズシロ(春の七草)のことです
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スズナ(春の七草)はカブのこと
・
アザミを夏の七草にかぞえることがあります。夏の七草は定まっていません
・
ハスを夏の七草に……以下略
・よっしー
ヨシを夏の七草……以下略
・
青花とも言われるツユクサを夏の七草……以下略
同級生たちはなかなかに苦しいものがありますが、なんとなーく、の七草しばりで命名しました。
え、『豆だいふく』?
……ひ、人じゃないから、ゆるしてください。
* * *
短編小説コンテストから始まったこの物語、こんな形になりました。
中学生の頃の自分が読みたかったもの――になっているかどうか、記憶は定かではありません。
ですが子どもでも大人でも、誰かがこれを読んで笑ったり泣いたりしてくださることを願っています。
ありがとうございました。
雨のち雨のレイ 山田あとり @yamadatori
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