きみと過ごしたあの夏の日の青は
pico
目に焼きついて忘れようもない
白球と汗、泥まみれのユニフォーム、日焼けの肌と、青々の夏
ロングティー バットのかわいた音だけが
ひびく夕暮れダイヤモンド
盆正月 修学旅行にクリスマス
「野球部っていつ休んでるの?」
山中の合宿所までランニング
地獄の冬合宿の幕開け
練習着 名前の文字の濃いヤツが
毎年かならず一人はいるよね
7教科 赤点とって怒られて
土日の試合は声出し係
練習後 自転車ふらふら帰り道
ふり落とされるエナメルバッグ
プロテインシェイカー100個も振ってると
マネの筋肉も鍛えられます
勝ち越してスコアブックに書き記す
ハートみたいな白丸ひとつ
バックネット裏からひたすら祈る
きみたちの夢が叶うようにと
念願のネクストバッターズサークル
「人、人、人」となぞるゆびさき
サヨナラのバックホームは間に合わず
白球を手に立ち尽くすきみ
無情にも 転がる白球おいかけて
振り返ると夏が終わってた
一塁に泥だらけの顔 伏せたまま
背中震わすラストバッター
「3年間支えてくれてありがとう」
その言葉はまだ聞きたくなかった
マジックで帽子に書かれたメッセージ
これほど遠い夢とは知らず
あの頃はなぜか叶うと信じてた
必ず甲子園に行けるって
「栄冠は君に輝く」というけれど
僕の夏には輝かなかった
あの夏に戻りたいとは思わない
終わりが来ると知っているから
十数年たった今でもぶりかえす
最後の夏の胸の痛みを
きみと過ごしたあの夏の日の青は pico @kajupico
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