たまたま「走れメロス」に縁のある名前を持つ、大学男子の芽呂栖・芹沼・王。
名前も関係性もそれとなく似ている三名が語り出したのは、メロスとセリヌンティウスの友情についてだった。
意見を交わし合っていくうちに、彼らの談義は旅のゴタゴタすらも上回るドタバタへと発展していく……
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濃いキャラクター性、白熱するメロス談義、終盤の混乱……
この作品には見所が沢山あるのだが、何と言っても三人が三人「愛すべきバカ」という点を推したい。
テンションの高さもそうだが、ハメを「適切に」外しているところに好感が持てる。やり過ぎであったり、人物描写の偏りがない。
全員が全員、「俺は今本気で楽しいけど、他の二人も本気で楽しんでてほしいな!」という思いでやり取りしている感じが堪らなかった。
良い意味でくだらない争いに笑い、
猛スピードで上がってゆく謎テンション・ドタバタに笑い、
未来ある若者たちの大笑いに友情を見出す。
読後の爽快感は本家メロスにも劣らない作品だった。