エピローグ

 一陣の風が吹き抜けたような気配に、マーニが静かに目を開く。

 するとそこには、一糸纏わぬ身体が横たわっていた。それは紛れもなく人の姿。思わずマーニはその身体を抱きかかえ、きつく抱きしめるとその名を叫んだ。


「ソフィーー!」


 衝動的にマーニはその唇に、自分の唇を重ねる。

 そしてこれで願いも叶えられるはずと、マーニは無効にされかけた約束を再びソフィに持ち掛けた。


「ソフィ、僕と結婚するって話、もう一度考え直して……くれる……よ、ね?」


 そう言ってソフィを見つめるマーニの顔はみるみる青ざめていく。

 対照的に生まれたままの姿のソフィは、腕を伸ばしてマーニの首に手を回すと、にっこり微笑みながらその問い掛けに答えた。


「マーニがその気ならそれでもいいよ? でもわたし、初代勇者の弟だよ……?」

(完)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

魔王討伐を命じられた勇者、希望に胸を膨らませる(物理)~勇者の俺がなぜか奴隷少女になってしまった! 転落勇者の成り上がり冒険譚 大石 優 @you

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ