人は? きっと、蜜をてさぐりする夫婦は日々もどかしくて、ほんとは甘い。
ものを創り出されるひとはけっこうに、性別をつかいわけている
または脳を、性別が多種あつかえる仕様に訓練していると、思う時があります。
妻はこう思っていて
夫はこう考えていた
こまやかな思いやりの行動一つでも、もどかしいくい違いのある視点。
冷蔵庫に使いかけの生姜をおく
女はそれ違うよといらつく
いや、そうじゃなくってさと男は切なくなる
ずっと一緒にいる年をかさねて、お互いの思いの色違いに苛立つ、ふたつの視界。
見事な視点の書き分けの仕掛けに、すっかりはいりこまされて
つれていかれるラストシーンには、涙ぐむあたたかさまでもらえました。
たっぷりと積み重ねた日々の分だけ苦味も面白みも芳醇な、ふたつの存在の組み合わせ
この「夫婦」の関係には、やさしくあまい蜜がある。
※目線の違う性別を同時にあつかう作者さまの手のひらの上で、転がされるのも楽しいですよ♪
長年連れ添ったご夫婦の日常が描かれたお話です。
一話目を読んだ時、かぶと虫のちょっと怖い習性を知って、少し不穏に思ったのですが……——ぜひ、最後まで読んでみてください!
お互いにムカついたり、冷たい態度をとってしまうけど、その裏には深い愛情が…。
相手を思ってやった事がうまくいかなかったり、お互いに歩み寄ろうとしてすれ違ってしまうところなど、ほろ苦くも温かく感じられます。
ケンカになったとき、妻と夫の視線でお互いに抱えている思いだとか、考えだとかが分かるようになっているので、それぞれの言い分には、なるほど、と思わせられます。
ケンカしながらも、支え合おうとする夫婦の関係が、とても愛おしく感じられる作品です。