か弱い男子が真っ向勝負で挑むは恋の土俵!

 女子と間違われがちな中学生男子、水宮彩乃介は私立中学校の剣道部員。そして想い人である同じ剣道部員の少女、十名河小春と今日も今日とて競い合っていた。あたたかながら進展のない日々、このままではだめだと一大決心し、告白を決行する彩乃介だったが……相手を間違えてしまったことから事態は大きく転じていく!

 注目していただきたいのは、剣道をうまく彩乃介くんの個性に絡めているところ! 彼は女子と間違われる華奢な体格で、逃げて引き込む戦術を得意としています。これが彼の有り様——武道的に言えば心技体のすべてが欠けた未熟さをこの上なく表現している。だからこそ告白から始まる「逃げられない勝負」へどのように当たっていくか、その期待感をいや増しているわけですね。そして間違いから課された試練へまっすぐな気持ちでぶつかっていく様が、この上なく輝くのですよ。

 さて、彩乃介くんは試練を越えて想いを貫けるのか? 砂かぶりで見守りましょう。


(新作紹介「カクヨム金のたまご」/文=高橋剛)