怖いのは人食いザメではない。狂った金銭感覚に魅せられた人間だ!

 各章ごとに主人公が異なるが、どの主人公も題名の「シャークファイト」に挑戦する。単純に「人食いザメVS人間」ではない。二人同時にサメと同じ檻に入る場合もあれば、複数で入る場合もある。そこで試されるのは、人間同士の絆。疑心暗鬼を生んだら最後。血を流したら最後。そして、金銭感覚が、狂ったら最後だ。
 各章ごとの主人公たちの他に、警察、サメ漁師、檻を作る技師など、様々な人々の視点で物語が進行するのが、この物語に奥行きを与えている。何故漁師たちはサメ漁に手を出すのか。何故技師たちは檻を作ったのか。そうせざるを得ない状況が、それらの人々にはあったのだ。
 そして何と言っても「警察VSシャークファイト運営」という構図だ。広大な海から、警察は運営側を追い詰めていく。これが息もつかせぬ攻防を見せる。警察の捜査の中に散りばめられた知識が、物語に現実味を持たせている。

 絶対に、読んだ方がいい。

 是非、是非、御一読下さい!

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