お知らせ~ 日本ファンタジーノベル大賞応募の結果~

日本ファンタジーノベル大賞2025への投稿により、一時非公開にさせて頂いていた本作ですが、残念ながら一次選考で落選いたしました。

よって、再公開させていただきます。


内容は、日本ファンタジーノベル大賞応募に向けて手直ししたものに変えてあります。



以下に、本作の梗概を添付させて頂きます。

日本ファンタジーノベル大賞用に作ったものです。



【ネフェル・シュマトは歌う の梗概】


 牧野(まきの)蜜(みつ)は、ショ―パブで歌手を務める十七歳の女子高生。ある日雇い主から、相性最悪の新人ピアニストとの仲をからかわれ憤慨し、店を出る。コンビニへ向かう途中、歩道橋の階段で強盗とぶつかり、盗品の中から飛び出してきた金の指輪を握ったまま階段から転落した。

目を覚ますとそこは、宗教改革による混乱も終盤を迎えたケメト(古代エジプト)の都アケトアテン。金の指輪の翻訳機能で現地人との会話には困らずにすんだ蜜だったが、そこを異世界だと思いこむ。所持品はガラクタばかりが入ったリュック一つ。歌以外の全てを失ったと絶望し自棄になった蜜は、道端で熱唱。それを見た旅の女楽士三人からの誘いにより、歌手として彼女らの仲間入りをする。

翌日、広場で現代ソングを披露した蜜らの前に、レイという美男があらわれる。レイは、昨日の路上パフォーマンスの噂を聞きつけたぺル・アア(ファラオ)、ツタンカアテンの命令で、蜜を値踏みしに来たのだった。

「幻滅した」「不作法」「破廉恥」など、レイから散々扱き下ろされた蜜だったが、苦心の末に仕事をもらう。太客をゲットしたと喜ぶ仲間の三人。しかし蜜は、レイの毒舌にすっかり怖気づいていた。レイとの約束は六日後。仲間の三人は、蜜に自信を取り戻させようと、とある貴族が主催する宴会の仕事をとってくる。そこで披露したアイドルグループの楽曲が大盛況だったことで復活を果たした蜜だったが、賓客としてレイが現れ、パニックに陥る。仲間に宥められどうにか仕事を終えた蜜。ところが今度は招待客から売春を要求され逃げ回る羽目に。そんな蜜を救ったのは、レイだった。神官と医者を兼務しているレイの診療所に仲間と共に招かれた蜜は、そこで自分は異世界人だと打ち明ける。

 約束の日。蜜らは北の離宮に導かれ、そこではじめて、レイがツタンカアテンの主治医であることを知らされる。ツタンカアテンという名前を聞き、蜜はようやく、そこが古代エジプトであることと、ツタンカアテンが未来では有名な少年王ツタンカアメンであることに気付く。未来の歌を披露し、少年王に気に入られた蜜らは、少年王のお抱え楽士となる。

少年王は蜜に、異母姉らの茶会でも歌うよう依頼。女豹のような女ばかりの茶会で吊るし上げられそうになりながらも、蜜らは茶会の仕事をやり遂げた。しかし同日、長女とレイとの会話を盗み聞きしたことで、実はレイが、死んだはずのぺル・アア、スメンクカーラーであること。そして、近々アテン信仰が廃止され、従来の多神教に戻ると同時にイネブヘジ(メンフィス)への遷都が行われるという極秘情報を知ってしまう。

少年王やその姉達を守るため、己の幸福そっちのけでケメトにその身を捧げているレイの生き方に、蜜は胸を痛める。またその頃から、蜜の持ち物が徐々に消えて無くなりはじめる。その現象は、金の指輪の元の所有者、亡きネフェル・シュマトが抱いていた歌への執念によるものだった。それを知った蜜は、歌い続けていればいずれ自分は日本へ帰れるという結論を導き出す。

それからも蜜は、仲間と絆を深め続け、またレイに惹かれていく。そんな日々を送る中で、蜜はマラリアに感染し死地を彷徨う。夢の中でネフェル・シュマトと出会い、彼女から指輪の栄誉を譲られた蜜は、レイの看病と祈りにより生還する。

レイと蜜はめでたく恋仲に。ところが、アテン大神殿の最高司祭であるアイが帰京し、遷都が一月後に決定したことで、蜜の周囲は一気に慌ただしくなる。アイは、アケトアテン最後の大宴会を計画し、蜜らに余興を依頼。蜜は神殿の楽士らを交えてゴスペルを披露しレイを激怒させるも、余興は成功した。アイはそこで、アテン大神殿の最高司祭の任をレイに譲渡。それによりレイは少年王から引き離され、政治への介入を完全に断たれてしまう。腹心を失い憔悴していく少年王をみかねた蜜は、最高司祭の業務に追われているレイを訪問する。そこで、イネブヘジに同行して少年王の力になってくれとレイに頼まれ、ジレンマに陥りつつも承諾。少年王とともに、アケトアテンを去る決意をした。

出立の日、蜜はイネブヘジ行きの船に乗りかけるも心変わりし、レイの元へ戻る。しかし蜜が神殿に戻った時、レイはアテン信仰のケジメとしてホルエムヘブに殺されていた。その後、蜜は仲間とともに、都市機能を失ってゆくアケトアテンでレイの鎮魂歌を歌い続ける。リュックが消え、やがて蜜も日本に帰る時が訪れた。仲間に抱き締められながら、蜜は消える。

タイムスリップした同じ日の日本に帰された蜜は、ショ―パブに戻る。そこで、エジプトに転移した日に熱唱した曲を歌った。そんな蜜に拍手を送ったのは、新人ピアニストの怜(れい)として転生を果たしていたレイだった。レイだけでなく、現代の知り合いの中に古代エジプトの仲間が転生している事を知った蜜。

「大団円やーん!」

 怜を抱きしめた蜜は、歓喜の叫び声を上げた。








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