【4-18】 帝国正規軍との殴り合いを欲す 下
【第4章 登場人物】
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【世界地図】 航跡の舞台 ブレギア国編
https://kakuyomu.jp/users/FuminoriAkiyama/news/16817330667919950277
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旧知の友であった先代国主が無理を重ねている姿を、ブレギア国宰相・キアン=ラヴァーダは何度も間近に見てきた。
しかし、よそ者である彼らが広大な草原に受け入れてもらうために、
己とその一族を任せるに足る人物なのか、草原の大小領主たちから常に品定めを受ける身の上なのだから。
盟友・フォラは擦り切れるように国主を演じ切り、そして逝った。
――2代目はどうか。
若き2代目は、偉大であった初代と比較しようとする目に、常にさらされている。
つまり、新国主・レオン=カーヴァルも、一人前と認められ、大国主として敬われるためには、ただひたすら敵に勝つしかなかった。だからこそ、正月返上で出兵を重ねている。
【4-6】 越年の出兵
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そうした、主の置かれている立場を知り抜いている宰相は、面と向かって若君に苦言を呈しようとはしなかった。
事実、戦う度に勝つことから、重臣たちのレオンを見る目が変わってきている。とりわけ、エルドフリーム城塞攻略は、隣国のシイナも侵略の手を引くなど、その効果はひときわ大きかった。
【4-4】 宣伝効果
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しかし、一方で、戦い続けることによる副産物も生じつつあった。
リューズニル・ウルズ・エルドフリームに続いて、ブレイザ・バルドル――新生ブレギア軍は、帝国(旧ヴァナヘイム)側の5つもの城を落とすことに成功した。それも、わずか1年の間に。
【地図】ヴァナヘイム ブレギア国境 航跡 第2部 第4章
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すると、レオン一派の増長ぶりは、新聞各紙が
特に、エルドフリームを落とした時、レオンの高揚ぶりは異常なほどだったと聞く。先代父王が抜けなかった城塞を攻略したのだ。快感を通り越し、
【3-35】 本音とは裏腹に 下 《第3章 終》
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もはや、点在する旧ヴァナヘイム領の各城塞都市では、ブレギア軍を食い止めることは不可能となっていた。
ヴァーガル河で打ち破った、「帝国」という化粧をしただけの旧ヴァナヘイム軍ではなく、帝国本土の正規軍を求め始めたのだ。
ところが、旧ヴァナヘイム領に駐留する帝国治安維持軍は、滅ぼしたばかりの同国統治にかかりきりであった。
かつてヴァナヘイム軍を率いて帝国軍を散々悩ませたアルベルト=ミーミル退役大将――彼が残党とともに蜂起し、危うく帝国軍が総崩れを起こしかけたのが、一昨年の3月のことである。
【16-2】義挙と反乱 下
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あれからまだ2年も経過していないのだ。旧都・ノーアトゥーンに詰める帝国首脳部は、とてもブレギア対策に本腰を入れている余裕などなかった。
帝国最大の権力者・ネムグラン=オーラム宰相としては、草原の小国が局地戦で勝ち続けたところで意に介していない。蛮族におもねる
帝国軍主力がその気になれば、一撃で失地を回復できる自信があった。だから、放置していただけのことである。
そうした事情もあって、ブレギア軍に囲まれ再三の救援を乞う城塞に対し、帝国軍は取り
そして、エルドフリーム・ブレイザ・バルドルとも、戦場に駆けつける前に手遅れ――救援すべき城塞が陥落――という事態を繰り返した。目的を失った以上、帝国援軍は撤退するほかあるまい。
先のブレイザ城やバルドル城攻略の折、帝国軍の背中――遠く剣を収め、旗を丸める後ろ姿――をレオンは見送るしかなかったそうだ。「戻って、我等と一戦交えよ」と、大声を出したい衝動にさいなまれながら。
目前で足を止めるや、さっさと引き揚げていく帝国軍を眺める度に、レオンとしては
――いまこそ、帝国本体と殴り合いたい。
互角に拳を交えられるだけの勢いをブレギア軍は有している。そこで勝利を得て、はじめて自分は父を超えることができるのだ。
【作者からのお願い】
この先も「航跡」は続いていきます。
帝国軍とのリングがなかなか用意されないもどかしさ――レオンの気持ちが分かる方、🔖や⭐️評価をお願いいたします
👉👉👉https://kakuyomu.jp/works/16817330657005975533
レオンたちの乗った船の推進力となりますので、何卒、よろしくお願い申し上げます🚢
【予 告】
次回、「仮住まい 上 戦術講義」
「ここにAとB、2つの軍勢があったとしよう」
突如、紅毛の上官は、白手袋をはめた手を2つ丸くしてテーブルに並べた。
「AとBが戦端を開く条件は、何か分かるか。ちなみに、攻城・籠城戦のように、一方が圧倒的に有利・不利な状況は除外する」
彼は戦術講義の教官のようにお題を投げてきた。
「戦闘を開始する条件ですか……」
トラフは即座に回答できない。「宣戦布告」あたりが思い浮かんだが、そのように形式的なものは、この上官が最も軽視することを彼女は知っている。
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