【4-36】 対話の使者
【第4章 登場人物】
https://kakuyomu.jp/works/16817330657005975533/episodes/16818023213408306965
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対アリアク城塞について、ブレギア首脳部では、武断派である宿老衆が和平方針を掲げ、文吏派である国主補佐官衆が主戦論を唱えるという、あべこべの事態に陥っていた。
アリアク城塞の物理的な堅牢さについては、切実であった。
国政の間では、ブラン=ホーンスキンまでが、城塞の無理攻めを嫌う発言を繰り返している。
もっとも、御親類衆が宿老衆に同調するのにも、切実な事情がある。
出兵となった場合、最も多くの兵馬を出さねばならない同家が、堅城を前に最も損害を被ることは自明の理であり、強硬策に対して慎重論を唱えるのも無理からぬことであろう。
【席次】ブレギア国 国政の間(レオン国主就任後)
https://kakuyomu.jp/users/FuminoriAkiyama/news/16818093076720576213
宿老筆頭・アーマフ=バンブライの周旋により、かろうじて事態は進展する。
この日の軍議は、新城主・ネイト=ドネガルを再度説得することに決したのであった。
アリアク城塞には、クイル=ドネガル以下、ケフト、グレネイといった、ダグダの3人の弟たちがいる。
何らかの事情で、彼らは音信不通となっているが、この首都からしかるべき将軍を送り、コンタクトを試みる――兄を支えてきた良識派の弟たちを通じて、年若い城主・ネイトを説き伏せるのだという。
ブレギア領民どうしでの争いは避けたいという想いが、
宿老たちには多分に、
先代国主正妻一族にも多少なりとも、
国主補佐官たちにすらわずかながら、
それぞれ存在したためであった。
いずれにせよ、レオン派閥の若者たち主戦派が、宿老たち和平派に譲歩したのである。
散会した国政の間に、若き国主とその筆頭補佐官だけが残っていた。
「……宰相様の造り上げた城は完璧か」
レオン=カーヴァルは鼻で笑った。
「帝国正規軍と正面から相まみえる機会がいよいよ来そうですな」
ドーク=トゥレムは予見する――ザブリクの如き
もっとも、筆頭補佐官の三白眼は、いち早く真相を
「上等だ」
帝国軍には何度決戦をすっぽかされたことだろうか――この若い主君にとっては、「いよいよ」ではない、「ようやく」という言葉こそがふさわしかった。
【4-5】 宰相の帰還
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【4-6】 越年の出兵
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【4-21】 ザブリクの3日囲い 上
https://kakuyomu.jp/works/16817330657005975533/episodes/16817330662315410455
「剣舞の準備をしておけ」
レオンは振り返ることなく命じた。
「……かしこまりました」
トゥレムはそれに応じる。わずかではあるが、怪訝そうな表情を隠すことなく。
【3-2】
https://kakuyomu.jp/works/16817330657005975533/episodes/16817330662302056478
翌日、ブレギア主脳部では、ネイト=ドネガル説得の使者として、宿将・エヘ=ボルハンをアリアク城塞に派遣することを決した。
ブレギア特有の浅黒い肌を持つ
だが、冷静さを常に持ち、どのような事態に陥っても取り乱すことなく、機に臨み変に応じて任務を遂行してきた。
宰相・ラヴァーダが、彼を重用してきた理由はそこにあり、今回も使者として適任であろうと判断されたのであった。
従前よりアリアク城塞に親しく出入りし、先代城塞司令官やその弟たちと懇意にしてきたことも、この人選を後押ししたともいえる。
もっとも、新城主・ネイトの幼き頃、ボルハンが度々遊び相手を務めてきたことは、あまり知られていない。
帝国暦386年5月16日、ボルハンは、わずかな手勢を率い、西へ向けて出立した。
次席補佐官・ブリアン等は、1万騎以上を率いてアリアク城塞を圧迫すべきだと主張している。
しかし草原生まれの宿将は、ゆっくりと
ところが、ボルハンが首都・ダーナを経ってからわずか数日後、事態は急変する。
【地図】ヴァナヘイム ブレギア国境 航跡 第2部 第4章
https://kakuyomu.jp/users/FuminoriAkiyama/news/16818023214098219345
ネイト=ドネガルの名をもって、アリアク城塞は、ブレギア国からの独立を宣言したのであった。
【作者からのお願い】
この先も「航跡」は続いていきます。
いよいよアリアク城塞がブレギアに背いたことに驚かれた方、🔖や⭐️評価をお願いいたします
👉👉👉https://kakuyomu.jp/works/16817330657005975533
レオン等の乗った船の推進力となりますので、何卒、よろしくお願い申し上げます🚢
【予 告】
次回、「ウルズ城塞の二の舞い」お楽しみに。
「この城も終わったな」
室内では、ドネガル家の家臣たちが力なくつぶやいていた。
「いまから
「あの金髪の国主様は、許してくれんだろうよ」
連日のように隣国への侵攻を繰り広げている戦闘狂の新国主である。自分の名声を高められるような、新たな戦場が用意されれば、喜び勇んで襲い掛かってくるに違いない。
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