アマニュウ(甘にゅう) ;Angelica edulis

 甘にゅうアマニュウはセリ科シシウド属の多年草。北海道、本州中部地方以北と鳥取県大山だいせん、四国の石鎚いしづち山に分布します。山地ではヒトの腰ほどしかない背丈のものも見られますが、海岸や草地といった開けた環境では見上げるほどの背丈になり、高さ2mにも達するものもあります。


 若芽、若茎が甘く食用となり甘味があり、山菜としても知られています。「ニュウ」はアイヌ語で、食用・薬用になるものにつけられた名前で、「甘いニュウ」という意味で「甘にゅう」と云われています。葉は出羽状複葉で葉質は薄く毛がなく、葉柄の基部は膨れて鞘状となります。セリ科の仲間は良く似たものが多いですが、アマニュウの最大の特徴は小葉の形状で、幅と長さが同程度の円形〜卵形、大きな切れ込みが1〜2カ所入り、鋸歯きょしがあります。花は八月、径20㎝に達する大形の複散形花序に多数つき、白色。花柄の基部に細い小総包葉があります。果実は楕円形で約7㎜、左右に狭い翼があります。セリ科植物の見分けでは果実の形状も重要で、アマニュウの果実には三つの隆条りゅうじょうが張り出し、その隆条の間が黒っぽく目立つ特徴があります。ちなみに隆条とは、果実表面を縦に走る隆起した筋のようなものです。


 山間部に生えるアマニュウを見つけた時の趣深い景観を詠んだ高澤良一さんの俳句をご紹介します。


アマニュウとアマニュウの間雪渓見ゆ 高澤良一


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植物に伝わる歴史と伝承 中澤京華 @endlessletter

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