アマドコロ(甘野老);Polygonatum odoratum var. pluriflorum
甘野老を、平安時代の『
春になると茎を出して葉の付け根から一、二個の筒状の白花を下向きに咲かせます。 花の先端は緑色がかっていて少しだけ開きます。葉は笹を彷彿とさせる形で茎をはさんで左右互い違いに行儀良く二列に並んでつきます。草丈は30〜80㎝で生育環境によって大きな差が見られ、茎は弓なりにやや湾曲し、春にスズランのように下向きの花を咲かせます。地中では太い根茎が枝分かれしながら広がり、群生させると見応えがあります。鉢植えでは、草丈低くこぢんまりとした姿になります。春の新芽は山菜として食用にされます。ただし、果実は有毒です。観賞用に栽培されるのは、主に葉に白い覆輪が入る品種です。清涼感があり、庭やコンテナを明るく彩り、葉はフラワーアレンジメントなどの花材としても広く利用されています。
また、薬用植物として根茎を乾燥させ煎服すると強壮剤に、摺り潰した汁は打撲症、腰痛に効があるとされています。
『万葉集』で「和草、似兒草、尓故具左、尒古具佐」の字が当てられている「にこぐさ」は、甘野老ではないかという説があります。
射ゆ
*神奈川県南足柄市足柄万葉公園の万葉歌碑の一首
葦垣の中の
(巻十一・二七六二)作者未詳
秋風になびく川辺の
(巻二十・四三〇九)大伴家持
夏の季語として俳句でも詠まれています。
木漏れ日と親しみ咲ける甘野老 福原十王
雫切る手際宜しも甘野老 高澤良一
あまどころ夕日きびしくさしにけり 行方克己
径しるべともなく傾きあまどころ 和田順泡
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